企業支出管理市場がいくつかのユニコーンを生み出す中、Rampもさらなる資金調達を目指す

2021年初めにユタ州に拠点を置く企業支出管理ソフトウェアを提供するDivvyは、16億ドル(約1800億円)の評価額で1億6500万ドル(約180億円)のラウンドを実施した。金融サービスソフトウェアと企業向け決済ソリューションの市場は2020年に始まったブームが2021年も続いたため、Divvyは競合のBrexに続いてユニコーンの地位を獲得した。

そして今回、DivvyとBrexの両方の競合企業であるRampは、StripeとD1 Capital Partnersから10億ドル(約1100億円)を超える可能性のある評価額で新たな資本を調達しようとしている。このニュースを最初に報じたのはThe Informationで、TechCrunchは取引に詳しい関係者に確認した。

Rampは、企業のキャッシュアウトフローの許可、管理、追跡するソフトウェアを提供するAirbaseTeampayなどのスタートアップとも競合している。この分野はスタートアップや他の中小企業にカンパニーカードを提供するというコンセプトでよく知られているが、その後に社内の経費管理のためのセントラルノードを提供する金融ソフトウェア市場に成熟した。

スタートアップへの投資は積極的なペースで行われている。Brexはパンデミック後に1億5000万ドル(約160億円)を調達し、Rampは2020年複数回の資金調達の後に2021年に入って負債枠を追加して財務基盤を強化した。Airbaseも2020年に資金調達を行い、2020年の終わりに向けて成長の指標を公表した。Teampayは2020年、2019年のシリーズAで500万ドル(約5億5000万円)を追加した。

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さらに企業の財務管理ソフトウェアを開発するフィンテック系スタートアップのモデルが他の市場へと普及する可能性を示す中、この分野でラテンアメリカを中心に活動するスタートアップのClaraは2021年3月初めに350万ドル(約3億8000万円)を調達した。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Ramp資金調達

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:塚本直樹 / Twitter

企業投資市場の成長にともないRampがゴールドマン・サックスから160億円の借入枠を確保

企業支出市場で競争するスタートアップであるRamp(ランプ)は米国時間2月10日、ゴールドマン・サックスから1億5000万ドル(約160億円)のデットファシリティを確保したと発表した。Rampは2020年初めに2300万ドル(約24億円)をシリーズAで調達後、同年12月下旬に3000万ドル(約32億円)をシリーズBで調達していた

TechCrunchはRampの共同創業者でCEOのEric Glyman(エリック・グリマン)氏と新しいクレジットアクセスについて話した。同氏は、それが確保されるまでは、Rampは顧客の企業支出を自社の貸借対照表から賄っていたと述べている。同社がより多くの顧客を獲得するにつれ、その方法では難しく非効率的になることが予想される。今回の迅速な資金調達により、実際そうなりつつあったことが示された。

TechCrunchが報じたようにこの大きなスタートアップカテゴリーは成長している。Ramp、BrexAirbaseDivvyTeampayなどが企業の支出をめぐって競争している。そうしたスタートアップは通常、カードへの請求に応じて企業にクレジットを提供し、インターチェンジの収入を回収し、場合によってはソフトウェアの収入も得る。

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Rampはプロダクトの仕事を支えるために新しいクレジットファシリティを使用する予定だとグリマン氏は述べ、リボルビングデットへの新しいアクセスによりソフトウェアへの投資に資本が解放されると指摘した。

これまでのところ、Rampのモデルは機能しているようだ。同社はTechCrunchに2020年11月から12月にかけて47%成長したと語った。これは収益ではなく取引量に関する数字である。ただし同社は取引量に応じて収益を上げるため、同じ期間に収益が急速に拡大したと推測できる。

首の後ろがチクチクする感じは正しい。Rampは今や十分な規模であり、単なるパーセンテージの成長指標よりも固い数値を開示できるはずだ。同社は約18カ月前に設立された後、2020年の秋に1億ドル(約105億円)の支出(割合ではなく合計数値)に達したことを私たちは知っている。そこから、同社の現在の支出ベースを見積もることができる。

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Rampは節約に焦点を当て、コーポレートカードという包みにくるんで、同社のソフトウェアパッケージに賭けている。同社は、顧客が経常的な支払いやその他の「悪い」支出を根絶する支援をする。

同社は競争にさらされている。Rampのライバルは、コーポレートカード製品の上にソフトウェアを位置づけている。TechCrunchの問いは、成熟しつつある企業支出分野のすべてのプレーヤーが、クレジットに関するサービスに加えソフトウェアレイヤーの料金を請求することになるかどうかだ(たとえばTeamPayはソフトウェア収益と取引量の結果の両方をTechCrunchに開示した)。

もしそうなら、企業支出のTAM(Total Addressable Market、実現可能な最大市場規模)は大きくなるはずだ。

企業の支出管理の分野で何が起こっているのかを理解するために、過去10年ほどのベンチャーキャピタルの世界の変化を思い起こしてほしい。昔、ベンチャーキャピタルはスタートアップに投資する資金を保有していた。現在の基準ではそれほど大きい金額ではなく、少数のプレイヤーに集中していた。資金は希少だった。したがって、ベンチャーキャピタリストはあなたを彼らのところに連れて行き、投資1ドルに対してより多くの株式を要求し、今日求められる水準のサービスを提供しなくてもよかった。しかし今やベンチャーの世界には資金が豊富にあるため、投資条件はより寛大になった。そして、単に資本へのアクセスを提供することに加えて、VCはおそらくスタートアップの採用活動や、さらに多くのことを支援したいと考えている。

企業の支出も同じだ。クレジットカードとコーポレートカードを提供することは、もはやほとんど当たり前のことになった。リボルビングチャージカードに加えてソフトウェアの価値が競争の対象になっている。

Rampがソフトウェアを拡張しながら、顧客ベース、支出、収益の点でどれだけ速く成長できるかを見届けたい。そして、どのライバルが最新のものをニュースとしてぶち上げられるか。見ていて楽しい分野だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Ramp資金調達

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

企業投資の獲得争いが激化する中、支出管理のRampが約31億円調達

企業の支出管理スタートアップであるRampが新しいラウンドでさらに3000万ドル(約31億円)を調達したと米国時間12月17日に発表した。TechCrunchは2020年初めにRampのプロダクト立ち上げ(未訳記事)を取り上げ、その時点までに同社が約2300万ドル(約24億円)を調達したことも詳しく述べた。

直近では2020年8月のラウンドで資金を調達した。6月に調達を開始したようだ。新しい資金は、Rampが2019年8月のシードラウンドで800万ドル(約8億3000万円)相当を調達して以来2回目のラウンド、または2020年2月に1500万ドル(約16億円)を調達後最初のラウンドで調達したことになる。D1とCoatueが新規投資家としてこの新しい投資に加わった。既存の投資家も参加した。

RampのCEOを務めるEric Glyman(エリック・グリマン)氏は、新しいエクイティはシリーズ A3といったところだといい、新しい価格が付いたにもかかわらず、前のラウンドの資料を効果的に再利用したと述べた。ベンチャー企業の歴史に関する純粋主義者なら、同社の新しい資金調達はシリーズB(シード以降2番目のバリュエーション更新ラウンド)であったか、同社のシードラウンドが2000年代ではAに相当することを踏まえシリーズCであったというだろう。

とにかく、Rampは資金を必要としていたわけではない。グリマン氏によると、同社が最後に小切手を受け取ったとき、銀行にはまだシードラウンドの資金が残っていた。これは、2020年8月の時点で同社の現金が4500万ドル(約47億円)を超えていたことを意味する。

グリマン氏は必要がないのになぜ資金を調達したのかと聞かれ、新しい投資家は「まったく信じられないほどの」投資実績を持っていた、とTechCrunchに語った。そして同氏は、ラウンドで魅力的な価格がついたため希薄化を抑えることができたと付け加えた。同氏はまた、新しい資金を持つことでRampが自信を持ってより積極的に採用に向かえると述べた。

今回のラウンドはある程度興味深いが、さらに興味をそそるのはRampが競う分野だ。そこで、ソフトウェアの力について、そして同社と競合他社が展開するコードに関して料金を請求できる可能性が出てくる時期について議論したい。

ソフトウェア

Rampは、企業の支出管理という市場のシェアをめぐり競争している。ベンチャーキャピタルの支援を受ける多くのプレーヤーがしのぎを削る領域だ。プレーヤーの密度が競争を生み出した。競争は、クレジットカードとチャージカードが企業によって利用されるために必要な基本ルールを書き直した。テーブルの賭け金は、このニッチな領域でこれまで以上に高くなっている。

なぜか。消費者や企業にクレジットカードやデビットカードを発行すること自体は大部分がコモディティ化してしまったため、決済を介し企業支出の一部を狙うスタートアップは自社の既存プロダクトを中心により強力なソフトウェアを開発しようとしている。派手なカードで新しい顧客を引き付けることができないなら、支出そのものを対象にデジタルツールを多く開発し、企業が現金の流出を管理・制限するのを支援してはどうか、ということだ。

このトレンドの例は無数にある。たとえばBrexは現金管理ソリューションと経費管理ツールを開発した。Ramp自体は2020年、独自の経費管理ソフトウェアを世に出した(未訳記事)。Divvyは他のカード関連ソフトウェアツールとともに同じようなサービスを提供している。

ベンチャーキャピタリストらはRampに5500万ドル(約57億円)を、Brexに我々の計算では負債を除き4億ドル(約420億円)強を、Divvyには2億5000万ドル(約260億円)以上を注ぎ込んだ。法人カードに関してより強力なソフトウェアを開発するゲームは注目に値する。この分野の主要なプレイヤーにベンチャーが賭ける金額の規模が非常に大きいからだ。

Rampは資金調達のニュースの中、新しいコードを書き進め上述の点を裏付けた。同社は最近、ベンダー管理ツールを加えた。また現在、同社のカードで支払わなかった経費に関して従業員が精算できるように、経費精算機能を追加した。

3社のうちどれが最高のソフトウェアを持っているのか。いずれの会社もそれぞれ「自分たちがそうだ」と思っていると我々は考えている。

Rampとその競合他社がカード関連のプロダクトを中心にソフトウェアを開発しようと努力した結果、顧客数は急速に成長した。Divvyは今週、自社の指標に関してTechCrunchに、2020年には顧客数が120%増加し、プラットフォームにおける経費の合計は2020年に100%増加したと語った。Brexは成長に関する指標の開示を断った。

Rampは自社のニュースの1つとして成長率を発表した。創業後最初の18カ月でプラットフォームにおける経費が1億ドル(約103億円)に達したこと(GAAPの時間軸ではないことは認める)、同社が企業のためにサポートした総経費の4分の1は過去30日間に記録されたことなどだ。

スタートアップが調達可能な資金が潤沢にあるのと同じように、スタートアップが成長するための市場も豊富にあるようだ。

最後に質問。企業の支出管理スタートアップがスイッチを切り替え、一連のソフトウェアへの課金を開始するのはいつか。現在、3社は主に決済から収益を稼いでおり、自社のカードがサポートする小さな取引を集めている。これは拡張性が高く、新規顧客による登録のハードルを低く抑える。結局のところ、無料の金融ツールを望まない人などいるだろうか。

だがいつかはソフトウェアの料金を請求することになる。SaaSに基づく収益の評価は高すぎて、もはやついて行けない。だがどこかの時点で。おそらくその日に「企業の支出」というロゴで顧客を引き寄せる時代が終わり、この分野のソフトウェアの成熟が始まる。その時点で新しい競合他社が次々に芽を出し、このサイクルが繰り返されることになると予想する。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Ramp資金調達

画像クレジット:William Whitehurst / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi