Intelは昨夜(米国時間3/8)、公式ブログ記事で、イスラエルのReplay Technologiesを買収したことを明らかにした。Intelによれば、ReplayはfreeD™ と名付けられた独自技術による3Dビデオのレンダリング・テクノロジーを保有している。
この技術はスポーツ中継の枠を超えてさまざま場面へ応用が可能だが、これまで主にスポーツで重要なプレイの瞬間を全周360°から3D再生するために用いられてきた。NBAのオールスター・ウィークエンドのスラムダンク・コンテストの中継に用いられたのが記憶に新しい。
IntelがReplayに注目した理由は、テクノロジーとしてクールだという点に加えて、コンピューターのハードウェアに密接に関係していることが挙げられる。レンダリング・サーバーには非常に多数のIntelチップが装備されている。NBAのスラムダンク・コンテスト中継で魔法のように3Dビデオが登場した裏には、アリーナの周囲に設置された28台の超高精細度カメラと、撮影された映像を瞬時に3D合成するReplayのソフトを搭載したサーバーの働きがあった。このサーバーには無数のIntelチップが搭載されていたわけだ。
最近では企業も個人もパソコンに対する需要が減少し、コンピューターやサーバーの出荷が低迷している。Intelでは最新のチップ・テクノロジーを生かせる新しい場面を探していた。通常のディスプレイにおける3Dレンダリングと専用ガジェットを利用した拡張現実はそうした新しいチップの利用を促進する可能性があるものとしてIntelが重視しているテクノロジーだ。
また今回の買収はスポーツ中継のあり方が大きく変化していることとも関連している。メディアの多様化に伴い、視聴者の注意力は分散され、一つの番組に対する集中の持続時間は短くなっている。NBAのスラムダンク・コンテストやNFLのスーパーボウル50などのビッグ・イベントの中継でもはっきりしたとおり、テレビ局が視聴者の注意をつなぎとめるために新たなテクノロジーは有効だ。Replayの3Dレンダリング技術は視聴者を番組に集中させ、ソーシャルメディアでの共有などの口コミを広げる上で大きな効果がある。
買収の価格は明らかにされていないが、Israeli Globesの記事によれば、1億7500万ドルだという。メールでの取材に対してIntelの広報担当者は「われわれは買収価格を明らかにしないことを通例としている」回答してきた。
価格が報道の線に近いなら、CrunchBaseによればこれまでに2250万ドルを出資した投資家は十分な利益を得ることができただろう。
スラムダンク画像: NBA
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)