Galaxy Watch 3ファーストインプレッション、やはり回転ベゼルは素晴らしい

サムスンは、素晴らしいスマートウォッチを作っている。この事実は、シングルプレイヤー、つまりアップルによって伝統的に支配されてきたカテゴリについての議論の中では見過ごされがちだ。しかし最近、世界的に状況が少し変わってきている。アップルの市場シェアはやや低下しており、ファーウェイとサムスンがその一部を拾い上げている(canalysレポート)。

米国では、ファーウェイは米中問題という明白な理由からプレイヤーとしての存在感は薄くなっている。グーグルのWear OSはいまのところうまくいっていない。グーグルの買収ターゲットであるFitbit(フィットビット)は、独自のスマートウォッチで業界にインパクトを与えたものの、期待するほどの影響力は発揮できなかった。Garmin(ガーミン)も同じようにうまくやっているが、比較的ニッチな市場を狙っている。Androidとの互換性を求めている人、あるいはiPhoneとの互換性を求めている人にはサムスンがベストだ。

サムスンは以前から、同社のスマートウォッチと同様の考え方でウェアラブル製品に取り組んできた。多くのオプションと多くの機能、大きく派手なフットプリント。しかし、Galaxy Watch 3の最も注目すべき機能は、回転ベゼルの復活だろう。同社は最近、Activeシリーズで回転ベゼルを廃止し、触覚フィードバック(Haptic Approximation)機能を推してきた。それは間違いだったと思う。

回転ベゼルは、ディスプレイの境界線を回すことで画面を切り替える機能で、長い間Gearシリーズの最も特徴的なUIだった。もちろん、スマートウォッチのUIとしては圧倒的に最高だ。Apple Watchのデジタルクラウンもそれにもおよばないだろう。サムスンにはさまざまなスマートウォッチのシリーズがあるにもかかわらず、回転ベゼルを排除してきたのは不可解だったのだ。ありがたいことにGalaxy Watch 3には回転ベゼルが戻ってきた。回転ベゼルは、時計本体のほかの部分と同じステンレススチールで作られており、より良いグリップを持たせるためにギザギザになっている。スクリーン間をスムーズに回転させる機能自体は満足のいくものだ。

ベゼルは、ケースサイズの全体的な縮小に合わせて少し薄くなっている。全体としては、オリジナルのGalaxy Watchよりも14%薄く、8%小さく、15%軽くなっている。45mmモデルはほかのスマートウォッチと比べてもまだ大きいといえ、私の長年の不満の1つに対処する方向に向かってはいる。41mmバージョンも同様だ。これまでのGalaxy Watchは、昼夜を問わず身につけるデバイスとしては必要以上にかさばるという問題があった。

本体はまだ私の個人的な好みとしては少し大きいが、Activeシリーズを除けば、ここしばらくの間でサムスンのスマートウォッチの中では間違いなく快適なモデルと言える。メタリックボディーは、スマートウォッチとしてはかなり時代を超越したデザインで、数世代前から定番となっているスポーティーな外観も踏襲している。個人的にはもう少しシンプルなミニマリズム的なものが好きなのでGear S2シリーズは理想的なのだが、多くの人はもう少し複雑なものを好むことも認識している。

画面のサイズは、45mmモデルが1.4インチで、41mmモデルが1.2インチ。Apple Watchは、44mmモデルが1.65インチ、40mmモデルが1.5インチなので、それよりも小さい。しかし円形のデザインは画面サイズ以外の印象を与える。画面は素晴らしくクリアであり、環境光センサーによって昼間でも文字などがハッキリ見える。付属には本体にマッチしたレザーバンドが含まれている。もちろん、無数にあるサードパーティー製バンドと交換することも可能だ。

Galaxy Watch 3のOSとして採用されているTizenは、常に奇妙な選択のように見える。しかし、グーグルは独自のウェアラブルOSの普及に難航しており、サムスンの自社のスマートウォッチ用OSとしてTizenを最適化してきた。アプリ数についてはApple Watchに遠くおよばないが、ここで重要なパートナーとなるがSpotifyだ。アップルがスマートウォッチとストリーミングの両分野で重要なポジションを占めていることを考えると、今回の提携は双方にとって理にかなっている。そのほかの重要なポイントとしては、プレイリストをデバイスに直接ダウンロードできる機能がある。スマートフォンを家に置いたままでも外で運動できるのだ。

Galaxy Storeに欠けているものはアプリだ。文字盤は現在8万種類以上あるし、モジュール式のコンプリケーションも40種類ある。また、写真などを取り込んでカスタム文字盤を作成することもできる。

バッテリーに関しては、常時点灯のディスプレイをオフにしていれば丸2日に2時間ほど満たないほどの時間、連続して使えた。手首に大きな腕時計をつけて眠りにつくのが快適だと仮定すれば、週に数日の睡眠トラッキングを利用するのに役立つだろう。慣れるまでには少し時間がかかるとは思うが。なお、Always-onを有効にするとバッテリーの持続時間は半分ほどになる。

Galaxy Watch 3は、選択したワークアウトを自動検出する機能を備えている。ランニング分析機能は、Galaxy Active 2で導入された機能に加えて、もう少し詳細になっている。ランニングが完了したあと、ランニングのメカニズムを詳細に分析し、ランニングに関連したケガを軽減するためのアドバイスをもらえる。ちなみに私は元ランナーなので、フォームが悪いと怪我をしやすいというのは事実として知っている。

アップルがwatchOS 7でApple Watchの睡眠追跡機能に本腰を入れ始めたことを受け、サムスンは自社の体験を改善しようとしている。Galaxy Watch 3は、浅い眠り、深い眠り、レム睡眠を分解し、就寝中の状態を教えてくれる。私は40歳代のスコアを得られたが、同じ年齢層でも70歳代前後のスコアの人もいた。個人的には、自分自身がよりよい睡眠状態を獲得するために「新型コロナウイルスについて常に考えないようにする」機能が必要だと感じる。

米国では、2つの重要な健康関連機能がすぐに利用できる状態ではない。具体的には心電図モニターと血圧計は承認を待たなければならないので、いまのところ評価は保留せざるを得ない。

気になる価格だが、サムスンはGalaxy Watch 3で価格競争をしようとしているわけではないようだ。41mmモデルが400ドル(約4万2700円)、45mmモデルが430ドル(約4万6000円)というのは、スマートウォッチとしてはプレミアム価格。同社がファーウェイやFitbitのような企業を主要なライバルと見ていないことは明らかだろう。サムスンはフラッグシップのスマートフォンと同様に、アップルをしっかり視野に入れており価格もそれに見合っている。Apple Watchは依然としてiOSユーザーにとって最良の選択肢だが、Androidに関してはサムスンが提供するプレミアムサービスに対抗できるものは少ない。

画像クレジット:Brian Heater

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Galaxy Tab S7+ファーストインプレッション

サムスンのUnpackedイベントでは、5つの主要な新しいデバイスが発表されたが、Galaxy Tab S7シリーズはそれほど注目されていなかった。Galaxy Noteシリーズのようなスター性はないし、新しい折り畳み式やBluetoothイヤホンのような目新しさもないので当然かもしれない。一般的にタブレットは、かつてのように刺激的なプロダクトではないのだ。

しかし、サムスンはタブレット端末を相変わらず作り続けている。同社が多くの種類のタブレット端末を作っているのは、もちろん需要があるからだろう。それぞれが異なる価格でターゲットとする顧客層を持っているとはいえ、なぜこれほど多くの種類を作れるのか不思議だが。その中でGalaxy Tabシリーズは、常に注目すべき製品であり、Galaxyシリーズを補完するためにデザインされたプレミアムなタブレット体験を提供している。

実際のところAndroidタブレットの大部分が低価格端末に属するが、サムスンは依然としてiPadと真っ向から勝負できる端末を製造している数少ないメーカーの1つだ。なお、最新モデルにはいくつかの重要な機能があるが、今回送られてきたレビューユニットのGalaxy Tab S 7+では使えないので、またの機会に紹介する。

さて、このデバイスは、5G接続に対応する最初のタブレットの1つだ。価格や発売時期はまだ未定だが、正直なところ多くの人が自宅で仕事を続ける現状では、タブレット端末にモバイル接続を求める需要はそれほど多くないだろう。新型コロナウイルスが終息して旅行などが再開したときには、また別の話になるかもしれないが。

とはいえ、サムスンがUnpackedイベントの直後に送ってきたモデルはまさに野獣ともいえるスペックだ。価格は849ドル(約9万円)からで、上位モデルはメモリーが6GBから8GB、ストレージが128GBから256GBにアップ。そして、最先端のSnapdragon 865+を搭載する非常に高性能なマシンに仕上がっている。

デザインも、このプレミアムなスペックにマッチしている。初期モデルのようなプラスチックではなく、光沢があり頑丈なガラスとアルミニウムのデザインに変更されており、価格に違わぬプレミアムな外観だ。重さは、12.4インチモデルは1.26ポンド(約570g)。少し重いが、12.9インチのiPad Proは1.41ポンド(約640g)なのでiPad Proよりは軽い。要するにこれらのデバイスは、ベッドに横たわっているときに顔の上に持ち上げやすいようには設計されていないということだ。

もちろん、これらは本当のマルチタスクの仕事用マシン、ホビーマシンとして意識して設計されている。私は仕事ではタブレット端末ではなくノートPCを使って原稿を書く派だが、このカテゴリーが近年進歩していることは評価している。また、Androidデバイスであれ、Surfaceであれ、iPadであれ、職場のPCとタブレットを交換することに成功している人を何人か知っている。

タブレット端末を仕事用マシンとして評価する際に重要になるのが純正ケースだろう。サムスンはこのケースをいくつかの点で改善している。タイピング性能についてはノートPCの専用キーボードには及ばないが、かなり洗練されている。カバーに内蔵されているバネの影響もあり、キーには適度なストロークがある。レザーケースは2つに分かれているので、キーボードがなくてもスタンドとしても使える。もちろん、この種のケースのトレードオフとして、カバーを外さないと膝の上では使いづらいという欠点はある。

そして、サムスンのタブレット端末といえばS Penだ。Galaxy Tab S7シリーズにはスタイラス用のスロットは用意されていないが、S Penはもちろん付属しており、少し弱いがデバイスの上部に磁気で吸着する。同社はこのS Penのための小さなエコシステムを着実に作り上げており、私の読みにくい筆跡を認識して変換してくれることに感心する。まじめな話、私のすでにひどい字の書き方は、時間の経過とともに衰えるばかりだ。

120Hzのリフレッシュレートを備える美しいOLEDディスプレイもポイントだ。ただし、作業内容によってはバッテリーを節約するために切り替えが必要になるかもしれない。バッテリー容量は、8000mAhと10900mAhでどちらのモデルも十分な容量を備えている。5Gモデルは間違いなくヒットすると思う。

そして、サムスンはDeXをこれまで以上に強く推進しているようだ。キーボードを接続したときにデスクトップ風の画面に自動的に切り替わるように設定できる。インターフェースもWindowsのデスクトップ体験に近いものを目指しているが、多くのアプリはまだDeXをサポートしておらず、全体的にまだぎこちない。マルチタスク機能などを改善する方法であれば容易に想像できるが、それがすべてではないだろう。

画像クレジット:Brian Heater

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(翻訳:TechCrunch Japan)

サムスンUnpackedイベントまとめ、5G対応のNote 20やTab S7、第2世代折り畳みスマホZ Fold 2などが登場

Samsung(サムスン)が初めて開催したバーチャルのUnpackedイベントは、全体的な演出と総じてぎごちない点で、Microsoft(マイクロソフト)とApple(アップル)の最近のイベントの中間ぐらいの出来栄えだ。開始が数分遅れ、画面上の数々のプレゼンテーションはぎごちなさに輪をかけた感じだが、全体としては、同社が「The Next Normal」と呼ぶだけあって、上品な仕上がりの初のバーチャルイベントだった。

ショーの終盤にモバイル部門のトップを務めるTM Roh(TM・ロー)氏が「サムスンの未来は5Gとフォルダブルが大黒柱だ」と説明した。たしかに5Gは当然だろう。今回のイベントで同社は、同社の主力機のすべてにわたって、次世代ワイヤレス技術(5G)を標準仕様にしていく第一歩を踏み出した。また、同社のタブレットにもそれは最初にお目見えすることになる。

予想どおりのビッグニュースは、サムスンの長年のお気に入りデバイスであるファブレット系列だ。Galaxy Note 20は6.7インチと6.9インチのどちらもモデルも5G対応になった。Ultraバージョンはリフレッシュレートが120Hz、ハイブリッド方式の50倍スーパーズームだ。今年始めに紹介されたGalaxy S20と同じ技術を使っている。

UWB(Ultra-Wideband、超広帯域無線)も登場したが、これはあまり強調されなかった。UWBの新しい機能としては、近接ファイル共有、セキュリティ関連製品メーカーであるAssa Abloy(アッサアブロイ)の未来解錠(アンロック)機能、AR(拡張現実)要素よる電話機捜索機能などがある。Xboxのトップを務めるPhil Spencer(フィル・スペンサー)氏が短時間リモートでカメオ出演し、Game Passへのアクセスも発表した。100以上のタイトルが、Galaxy Note 20シリーズでストリーミングで楽しめる。

価格は、6.7インチが1000ドル(約10万5500円)、6.9インチが1300ドル(約13万7000円)だ。発売は8月21日の予定。

そのほかで5Gの仲間に新たに加わったのはGalaxy Tabシリーズだ。サムスンによると、この系列には「5Gをサポートする米国で初のタブレット」が含まれる。Galaxy Tab S7、同S7+はそれぞれ、ディスプレイが11インチと12.4インチで、価格は650ドル(6万8500円)と850ドル(約9万円)だ。5Gバージョンは、価格の発表なし。

新しいウェアラブル製品が2つ発表された。中でもエキサイティングなのはGalaxy Buds Liveだろう。同社のワイヤレスイヤーバッドは一貫してしっかりした作りだ。最新バージョンではやっとアクティブノイズキャンセリングが導入された。ちょっとクールな機能としては、インターネットに接続されたGalaxy Noteデバイスではマイクロフォンと二役になる。この豆みたいな形のBudsは、本日から170ドル(約1万8000円)で買える。

Galaxy Watch 3の最もエキサイティングな部分は「ベゼルの復活ではない」と言ったら嘘になる。それは長年、サムスンのスマートウォッチの最良の部分だった。睡眠とフィットネスのトラッキング機能が改良され、ECGモニター(心電図モニタ)も搭載されている。同社によるとこちらは、FDA(米食品医薬品局)の認可が下りたばかりだ。Galaxy Watch 3の価格は、41mmが400ドル(約4万2000円)、45mmが430ドル(約4万5000円)だ。さらに、50ドル高いLTEモデルも出る予定となっている。

気になる折り畳み(フォルダブル)についても最新モデルが発表された。そのGalaxy Z Fold 2は、韓流スーパースターであるBTSの力を借りている。ニューバージョンの注目ポイントは、旧バージョンの大量の問題点の修復がほとんど。例えば、画面のガラスの強化、蝶番にゴミが入って画面が壊れる問題など。フォルダブルに関する詳しい情報は、9月1日に改めて発表される。

画像クレジット: Samsung

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

2mの落下に耐える新ゴリラガラス「Victus」は最新Galaxy noteに搭載され来月登場か

Gorilla Glass(ゴリラガラス)という名前は知らなくても、Corning(コーニング)が開発した極めて強固なこのガラスを使ったデバイスを持っている可能性は非常に高い。ゴリラガラスは落下やひっかきに対する耐性が極めて高く、スマートフォンから各種のウェアラブルデバイスまで各種の消費者向け製品に広く使われてきた。この10年で80億以上のデバイスに使われてきたと見積もられている。

このほどコーニング社はゴリラガラスの最新バージョン「Victus」を発表した 。このガラスは落下試験で2mの高さから固く荒い表面に落下しても耐え、スクラッチ耐性も現在のゴリラガラス6より2倍もアップしているという。全体として大変いいニュースのようだ。

2018年に登場した現行モデルはゴリラガラス6だが、新しいガラスの名称は従来の番号システムによるものではない。そこで私はビクタスという単語をWikipediaで調べてみた(私もたまにはWikipediaを調べる)。

  1. 語源はラテン語のvīvō(=生きる)
  2. 生き方、ライフスタイルという意味がある
  3. カタロニアの人類学者アルベルト・サンチェス・ブリオニが著した歴史小説の題名(まあどうもこれは関係なさそうだ)

コーニング社の広報担当者は、これまでの番号システムを捨てて新たな命名法を取った理由を説明して「現行のフラッグシップ製品であるゴリラガラス6に対して新製品は強度、スクラッチ耐性ともに極めて大きな改良が行われている。これほど飛躍的な改良を受けた製品であるからにはその名称もまったく新しいものであってもいいと考えたわけだ」と述べている。

それでは1年半か2年後に新バージョン登場するとVctus2になるのだろうか?それともまったく新しい別のラテン語名を採用するのか?これは今のところ不明だ。

ともあれこの新ガラスはサムスンのデバイスに採用され「近く発表される」という。「近く」というのはサムスンが8月5日に予定しているGalaxy Noteの新製品5モデルの発表会(未訳記事)を意味しているのはほぼ間違いない。Galaxy Note 20はこのガラスが採用されるデバイスの候補として極めて有力だ。表面だけでなく裏面にも使われるのではないかと思われる。

画像:Corning

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(翻訳:滑川海彦@Facebook