DropboxやBoxやGoogle Driveなんかと同じく、ESTmobのSend Anywhereもファイル共有サービスだが、重要な違いが一つある。Dropboxみたいにファイルをクラウド上のストレージに保存するのではなく、ユーザが複数のデバイス間でコンテンツを、ピアツーピアでリアルタイムで共有するのだ。ソウルに本社のある同社はこのほど、Rakuten VenturesのパートナーSaeMin Ahnが率いるラウンドにより、100万ドルのシード資金を獲得した。このラウンドには、Andrew McGlincheyとAndy Warner、それに二人の韓国のエンジェル投資家も参加した。
Rakuten Venturesは日本のeコマースおよびインターネットサービス企業「楽天」の投資部門だ。楽天は最近、9億ドルでメッセージングサービスのViberを買収した。
ESTsoftから2012年にスピンオフしたESTmobは、2つのデバイスをペアにし、そのときかぎりのキーを確認することによって、ファイルを共有化する。ログインする、ユーザ登録する、といった手間はまったくない。Send Anywhereは、複数のデバイス上のファイルにアクセスしたい人向けのサービスだ。今は無料で、iOSとAndroidで利用できる。
協同ファウンダのSuhyuk Kangによると、Send Anywhereのピアツーピアのファイル共有は、複数の大きなファイルを送る場合、既存の競合サービスよりも高速である。
“同じLAN上や近距離内で複数の人が複数のデバイスを使っている、という状態が至るところにある。わざわざクラウドなんか使う必要はない。クラウドサービスはサーバまでの距離がとても長い場合が多いから、遅いし、セキュリティの不安もある。しかも料金が高い”、とKangは説明する。
“しかも、合衆国以外のユーザが使うと遅い、というファイル共有サービスも多い。大きなマルチメディアファイルをシンクしようとすると、極端に遅くなることもある〔Dropbox!〕。また、クラウドサーバを使わないようにすれば、プライバシーも守りやすい。うちのサービスは、クラウドサービスを補完するサービスとして全世界から歓迎されるだろう”、とも。
WhatsAppなどのメッセージングサービスも写真やビデオを共有できるが、KangによるSend Anywhereの強みは、100枚の写真とか2GBのビデオといった大型のファイルを、高画質を維持しながら共有できることだ。
Send Anywhereが次に行う大型アップデートでは、登録デバイスへのリモートアクセスができるようになり、Dropboxに近いユーザ体験になるが、やはりクラウドサーバへのアクセスは不要だ。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))