アメリカ地質調査所(United States Geological Survey, USGS)といくつかの大学が協力して、ShakeAlertと呼ばれる地震早期警報システムを作っている。その目標は、地震が起きる10秒前までに警報を提供することだ。まだ一般公開されていないが、目下、カリフォルニア、オレゴン、ワシントンの三州でテストを行っている。
プロジェクトのリーダーの一人でカリフォルニア大学バークリー校地震研究所の所長、そして地球惑星科学科の学科長でもあるRichard Allenは語る: “同様の地震早期警報システムのテストを、イタリアのIrpinia(イルピニア)地方でナポリ大学が行っている”。
水曜日(8月24日)にイタリア中部で、マグニチュード6.2の地震が発生し、イタリアのメディアによれば今日(米国時間8/26)現在で死者数は281名へと増えている。
Allenは本誌の取材に対して、ShakeAlertは地震を予報するシステムではない、と語った。「水曜日にロサンゼルスで地震が発生します」、というのが‘予報’だが、Allenによると彼らのプロジェクトは地震の予報はできない。“近い将来に地震の予報が可能になることは期待できない、という点で多くの地震学者の考えは一致するだろう”、とAllenは語る。
むしろ私たちは、今何ができるかを考えるべきだ。そこに、ShakeAlertのようなものの出番がある。このシステムは、地震が約10秒後に起きる、と警報する。プロジェクトの関係者たちは、警報を自分のスマートフォンで受け取る。
Allenの説明によると、われわれは地震が突然起きると考えがちだが、実はその動きが到達するまでに一定の時間がかかる。ShakeAlertは、地中に埋めた複数の地震計(地震センサー)のネットワークを利用する。計器が地中の動きを記録して、そのデータをバークリーやUSGS、またはカリフォルニア工科大学に送る。地震計のネットワークが密であればあるほど、観測の精度は高い。
“ベイエリア〔サンフランシスコ周辺〕では、間隔が10から20キロメートルぐらいだ”、とAllenは語る。“カリフォルニアのそのほかの地域は、計器の密度がもっと粗い”、という。カリフォルニア全域でセンサーの数は550、内約200がベイエリア、200がロサンゼルス周辺、その他が州全域だ。これらが、警報システムのプロトタイプを構成している。
このシステムの構築には、国と州の両方がお金を出している。8月15日にUSGSは、地震早期警報システムShakeAlertの実用化への移行のための研究に6つの大学に370万ドルを助成する、と発表した。Allenの試算では、構築には3800万ドルを要し、各年の運用費用が1610万ドルだそうだ。
Allenは曰く、“近い将来、みんなのスマートフォンに警報が行くようにしたい。2018年には特定の地域で、少数の住民による本番利用を開始したい。そこには、これまでよりもっと密度の高い地震計ネットワークを整備するだろう”。