「フレンチランドリー」シェフ監修のベジタリアンミールキット「Simple Feast」が米国に進出

Simple Feastは、投資家からの4500万ドル(約48億9000万円)の資金調達を背景に、米国の最も富裕な20%を加工食品から解き放すべく、事業拡大を目指して米国に上陸した。

ヨーロッパ発のスタートアップであるSimple Feastは、LIVEKINDLY Collectiveのプレイブックを参考にして米国市場に挑もうとしている。グルメな調理済みの食事にはグルメなお値段がついており、より風味豊かで美味なベジタリアンメニューを提供することで、米国人の肉食を減らすことをミッションとしている。

LIVEKINDLY Collectiveはこの戦略により、最近の資金調達で3億3500万ドル(約364億3000万円)を獲得し、ベジタリアン食品ブランドの分野で最も資本力のある新規参入企業の1つとなっている。

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Simple Feastの共同創業者兼CEOであるJakob Jønck(ヤコブ・ヨンク)氏は「一般的な健康問題は、ほとんどが私たちが口に入れるものに起因しています」と語る。

Simple Feastは、カリフォルニアのFrench Laundry(フレンチランドリー)やノルウェーのNoma(ノーマ)など、世界の最高級レストランのシェフが開発したメニューをパッケージ化したミールキットを、財布に余裕のある米国人向けに提供している。こうしたレストランで外食すれば、1人あたりの食事代は350ドル(約3万8000円)ほどかかる。

同社の場合、2〜3人用の3種の調理済みの食事は1週間で約98ドル(約1万700円)、4〜5人家族の場合は1週間で159ドル(約1万7300円)となる。

Simple Feastの米国市場への進出は、同社のサービスのごく一部にすぎない。北欧では、肉食を減らしたい人を対象に、約30種類の商品を提供している。

ヨンク氏が指摘するように、この製品はミールキットというカテゴリーの中で最も高い利益率を実現しているため、投資家たちは同社の製品を高く評価している。

これらの出資者には、ヨーロッパのベンチャーキャピタルであるBaldton CapitalやKinnevik、ニューヨークを拠点とする14Wなどが含まれる。

同社の顧客は子どもを持つ母親が中心で、その収入は人口の上位20%に相当する。彼らは一般の人々よりもはるかに裕福かもしれないが、米国の工業型食糧システムの最悪の側面、つまり糖尿病や肥満などの慢性疾患を爆発的に増加させる原因となっている高度に加工された食品にさらされているのに違いはない、とヨンク氏はいう。

ランド研究所(Rand Institute)などのデータによると、米国では栄養不足やそれに起因する慢性疾患の負担が、低所得者層や中所得者層に偏っていることがわかっている。

米国では健康が大きな問題となっており、2016年から2030年の間に、年間7940億ドル(約86兆3200億円)の生産性が失われると推定されている。学術誌Health Affairsの記事では、公共政策シンクタンクである合同政治経済研究所(Joint Center for Political and Economic Studies)の研究結果を引用し、健康上の不公平や早死には、米国経済に年間3093億ドル(約33兆6200億円)の損失をもたらすと推定している。

しかしこれらのコストは、主に米国の貧困層、特にマイノリティが負担している。「有色人種は白人に比べ、糖尿病、肥満、脳卒中、心臓病、がんの罹患率が高い」とHealth Affairsの記事は述べている。

Simple Feastはこの問題の解決に取り組んでいる、とヨンク氏はいう。欧州の小売店で販売されている同社の調理済みミールキットの価格は、約15ドル(約1630円)だとも。同社は米国の最低賃金をはるかに上回る給料を従業員に提供し、米国の貧富の格差を少しでも改善する役割を果たしていきたいという。

「これは、根本から変わらなければならない業界との駆け引きです。既存のシステムを変える必要があります」とヨンク氏は語った。

カテゴリー:フードテック
タグ:Simple Feastヘルスケア食事

画像クレジット:Caiaimage/Adam Gault / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Aya Nakazato)