ダウ平均が1987年以来最悪の暴落、ビットコインも例外ではない

まったく、最悪の日だった。

狂乱の売買が行われたその日、ダウ平均株価は10%近く下落し、1987年(市場があまりにも混乱したため、いっそうひどい暴落を未然に防ぐべく、一時的に取引を停止するサーキットブレーカーが発動された)以来、1日あたり最大パーセンテージの暴落だった。

トランプ大統領が新型コロナウィルスの蔓延を防ぐ政府の対策案を公表した翌日、主要インデックスはそろって急落し、連邦準備制度理事会(FRB)が1.5兆ドル近くを供給する緊急介入を行ったというニュースにも、投資家らは動かされなかった。

米国の主要インデックスを見てみよう。

  • ダウ平均株価は9.99%、2352.60ドル下げ、2万1200.62ドルで引けた
  • NASDAQは9.43%、750.25ポイント下げ、7201.80ポイントで引けた
  • S&P 500は9.5%、260.74ポイント下げ、2480.64ポイントで引けた

この1週間で、1日の高騰に対する3度目の大暴落だ。今や今週の火曜日(米国時間3月10日)が遠い昔に感じる。

関連記事:COVID-19 market turmoil tests NYSE’s shutdown circuit-breakers

大量売りの理由は?

投資家の売りが続いているのは、FRBによる暴落緩和策による短期的利益が米国(および世界)の短期的・長期的経済状態を改善できないと見ているからかもしれない。米国と世界の経済はもちろん驚くほど連動しているのだ。

「政府は積極的に行動し、中でも今中央銀行は市場が機能することに集中し、今後も十分な流動性を提供するであろうことを再度強調したい」と、Citi Research(シティ・リサーチ)のグローバル経済担当ディレクターであるEbrahim Rahbari(エブラヒム・ラバリ)氏がCNBCに伝えた。そして「しかし、強力なリスク回避策にも関わらず、信用懸念と健康への高まる懸念を踏まえると、こうした対策は市場の安定を維持するにはまだ不十分であると考えている」と続ける。

 

一方米国産業の大部分が、全米に蔓延する新型コロナウィルスの被害を緩和するための対応で麻痺状態に陥っている。ブロードウェイが閉鎖され、主要なスポーツイベントは中止になり、シーズン全体が中断している。航空および旅行業界は特に大きな打撃を受けており、米国時間3月12日にユナイテッド航空の株価は12.26%、デルタ航空は21%、アメリカン航空は17.28%下げて取引を終えた。航空会社は今後30日間、米国・欧州間の移動を禁止するという米国時間3月11日の夜にトランプ大統領が発令した大胆な決断を耐え忍ばなければならない。本日航空会社はフライトの欠航を開始した。デルタはオランダ、アムステルダムと、フロリダ州オーランド、オレゴン州ポートランド、ユタ州ソルトレイクシティ各地を結ぶフライト、およびパリ行きのオハイオ州シンシナティ発、ノースカロライナ州ローリー・ダーラム発、およびインディアナ州インディアナポリス発の各便を一時的に欠航すると発表した。

投資家が現在も身を潜めているのにはこうした背景がある。そしてこの国が新型コロナウイルス(COVID-19)の検査体制を十分に整えるのを待っている。

暗号通貨さえも、この暴徒の前には安全ではない。Bitcoin(ビットコイン)をはじめとする主要暗号通貨はすべて、投資家の大量売りのために数年来最悪の暴落に見舞われた。SaaS関連株は8%以上下げ、取引終了後に発表されたSlackの決算も投資家を引きつけることができず株は売りに出された。つまるところ明るい兆しを求めているなら、本日はその日ではないということだ(1カ月前に原油を空売りしていた人を除く)。

画像クレジット:Cloudytronics / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米株式市場で初のサーキットブレーカー発動、S&P 500が7%安で自動的に15分間取引停止

世界では新型コロナウイルスへの懸念が引き起こした混乱が続いている。

3月9日朝、米国の株式市場ではS&P 500の下落が7%に達したために、いわゆる「サーキットブレーカー」が落ちた。これは市場の混乱を避けるために組み込まれた自動的な取引停止システムだが、実際に作動したのは今回が初めてだ。

寄り付きから市況は売り一色だった。取引開始後数秒でダウは872.42ドル(S&P 500はNasdaqは90.16ドル(6.96%)下げて1205.58ドルとなった。

S&Pがさらに下落して7%に届いためシステムは自動的に15分間取引を停止した。S&P指数でサーキットブレーカーを落とす場合、7%の下落で15分間の停止、13%でさらに15分間延長、20%で終日停止となる。取引開始の鐘がなって30分後にはダウは6%割り込んで1571.87ドルとなった。

ニューヨークの株式市場で史上初めてサーキットブレーカーが作動し、15分間取引が停止された。これは(S&P 500指数の)下落が7%に達したため。次は13%下落、その次は20%(でサーキットブレーカーは落ちる)。

世界の市場では、日本市場が約5%、中国(上海総合指数)が3%、オーストラリアが7%以上、韓国が4%を超えて下落した。英国ではロンドン市場とFTSE Russelが7%を超えて下落している。

他の経済指標の低下もひどいものだ。原油価格もダウンしているし、米国国債利回りは最低を記録している。暗号通貨でさえ今日は大幅安だ。bitcoinは8000ドルを下回っており、他の暗号通貨の価値も下がっている。

スタートアップに影響が及ぶまでにはまだ少し時間がかかるだろう。しかし、あらゆる企業の価値が低下する場合、関連するスタートアップ、それどころか競合するスタートアップの価値さえ低下せざるを得ない。2019年にきわめて楽観的な展望による会社評価額で巨額の資金を調達したスタートアップにとって、評価額が低下すれば大惨事だ。

また、ベンチャーキャピタルと未公開株式に対する最大の資金の出し手に対する影響も考えねばならない。原油価格の大幅ダウンはオイルダラーを原資にして投資ファンドに巨額の資金をつぎ込むことを困難にする。オリガルヒと呼ばれるロシアの新興財閥や中東の王族からの出資はすでに保留にされている可能性がある。そうであればSoftBankのVision Fund 2成立の可能性をさらに狭めるものだ。

過去数年、ミレニアル世代ために豪華なレストランや郊外のゴルフコースなど金のかかる産業が軒並み苦境にあるとジョーク混じりで報告されている。ベビーブーム世代は国債と金持ち階級を強化し、大きな犠牲を払って戦争をした挙げ句、株式を暴落させているのではないか。どっちもどっちだ。

ともかく市場の現場はこのとおりだ。SaaS株でさえ寄り付きで4.84%安だった。

画像:Mario Tama / Getty Images News

【Japan編集部追記】S&P500は7.60%安(2746.56ドル)で引けている。アメリカYahooのS&P 500

[原文へ]

滑川海彦@Facebook