SpaceXが初の買収、衛星ネット接続のSwarm Technologiesを全額出資子会社に

SpaceX(スペースエックス)は衛星接続のスタートアップSwarm Technologies(スワームテクノロジーズ)を買収する。Elon Musk(イーロン・マスク)氏率いる創業19年のSpaceXにとって初の買収となる。

Swarmはサンドイッチサイズの衛星120基から成るコンステレーション​​ならびに地上ステーションネットワークを運用している。買収により、Swarmの保留中のライセンスに加えて地上と宇宙のライセンスの管理はSpaceXに移る。買収が承認されれば、SwarmはSpaceXの「直接の全額出資子会社」となる。

米連邦通信委員会(FCC)への書類提出で明らかになった今回の買収は、SpaceXの確立された社内技術開発戦略からの急な逸脱となる。

買収取引は米国時間7月16日に2社間で合意に達したと報道されている。取り上げられなかったFCCへの提出書類では買収金額や取引条件などの詳細は明らかにされなかった。SpaceX、Swarmどちらにもコメントを求めることはできなかった。

「Swarmのサービスは豊富な資本金と、SpaceXが利用するリソースへのアクセス、そして衛星のデザイン、製造、打ち上げサービスを手がけるSpaceXによる買収に関連する相乗効果の恩恵を受けます」と両社は提出書類の中で述べている。逆にSpaceXは「Swarmのチームによって開発された知的財産と専門性へアクセスでき、またリソース豊富で有能なチームをSpaceXに加えることで同様に恩恵を受ける」ことになる。

SpaceXのオペレーション、特に同社のStarlink衛星ネットワークにとって意味するところは不明瞭だ。というのも、これらの衛星はSwarmの衛星とは異なる周波数帯域で運用されているからだ。短期的には、Swarmは衛星150基のコンステレーションの展開という目標に向けて「まだ歩んでいる」と同社CEO、Sara Spangelo(サラ・スパンゲロ)氏は7月にTechCrunchに語った。

SpaceXと比較すると、Swarmは新しい会社だ。ほぼ3年前になる2018年8月にシリーズAで2500万ドル(約28億円)を調達したが、主要製品で商業展開を開始したのは2021年初めのことだ。Tileというその製品は、ユーザーがIoTデバイスを低コストで動かすことができるよう、さまざままな接続デバイスに埋め込んで衛星ネットワークにつなげられる小型のモデムだ。

SwarmのEvaluationキット(画像クレジット:Swarm)

Swarmはまた、2つめの製品となる499ドル(約5万5000円)のEvaluationキットを7月に立ち上げた。このキットは、Tile、ソーラーパネル、その他いくつかの部品を使って誰でもIoTデバイスを作れるようにするオールインワンのパッケージとなっている。

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カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXSwarm Technologies買収衛星コンステレーション人工衛星

画像クレジット:SpaceX

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

Swarmが初心者でも扱えるIoT用衛星通信デバイスのキットを発売、約5.5万円

衛星通信事業会社Swarm(スワーム)の新製品は、誰でもメッセージングやモノのインターネット(IoT)のためのデバイスを作ることができるというもので、通信網から離れても接続を維持したいハイカーや、天気を把握したいホビーストなどに最適だ。

このSwarm Eval Kit(スワーム・エヴァル・キット)は、同社の主力モデムデバイスであるSwarm Tile(スワーム・タイル)、VHFアンテナ、小型ソーラーパネル、三脚、FeatherS2(フェザーS2)開発ボード、Adafruit(エイダフルーツ)製OLEDなどがセットになったオールインワン製品だ。キット全体の重さは2.6キログラムで、価格は499ドル(約5万4700円)。このパッケージを見ると、技術的な知識がないと扱いが難しいように感じるかもしれない。しかし、SwarmのCEOであるSara Spangelo(サラ・スパンジェロ)氏は「まったくの初心者から、より知識を持った上級者まで、ユーザーフレンドリーな設計になっています」と、TechCrunchの取材に語っている。

この製品を「評価キット(evaluation kit)と名付けたたのは、完成品ではないからという非常に意図的なものです」と、スパンジェロ氏は説明する。「この製品は、2種類の異なるグループに向けたものです。1つ目のグループは、地球上のどこにいても、低コストでメッセージングを行いたい人たち。第2のグループは、機械いじりが好きな人や趣味を楽しむ人、そして教育分野に携わる人々です」。

CEOで共同創業者のサラ・スパンジェロ氏(画像クレジット:Swarm)

Swarmにとっては、2021年初めに主力製品であるSwarm Tileの商業化を開始して以来、これが2番目のコンシューマー向け製品となる。Swarm Tileは、いくつかの異なるコンポーネントで構成されたSwarmのエコシステムの重要な一部である。Tileはさまざまなものに組み込むことができるモデムのようなもので、顧客はこれを使って、同社の衛星ネットワークおよび地上局ネットワークに接続する。Tileは最大限の互換性を持つように設計されているため、Swarmは海運、物流、農業などさまざまな分野の顧客にサービスを提供している。

「Swarmのすばらしさの1つは、私たちがインフラであるということです」と、スパンジェロ氏はいう。「私たちが携帯電話の電波塔のようなものなので、誰もがあらゆる分野で利用することができます」と語ったスパンジェロ氏は、土壌水分センサーやトラック運送業界で貴重な荷物の追跡にTileを使用している顧客などの事例を挙げた。

Swarmのビジネスモデルの大きな特徴は、低価格であることだ。Swarm Tileの価格は119ドル(約1万3000円)、接続サービスは機器1台につき月額5ドル(約550円)で利用できる。スパンジェロ氏によれば、それは小型デバイスや衛星の技術革新のお陰だけでなく、特にSwarmのような小規模な衛星開発企業にとっては、打ち上げ費用の経済性が向上したことも大きいという。また、同社は直販も行っているため、それが間接経費の削減にもつながっている。

Swarmの創設者であるスパンジェロ氏は、NASAのジェット推進研究所やGoogle(グーグル)のドローン配送プロジェクト「Wing(ウイング)」に参加していたパイロットで、航空宇宙工学の博士号を持つ。彼女がTechCrunchに語った話によると、Swarmはスパンジェロ氏と、高高度気球のプラットフォームを製造するAether Industries(エーテル・インダストリー)という会社を設立した経歴を持つ共同創業者のBen Longmier(ベン・ロングマイヤー)氏との間で、趣味的なプロジェクトとして始まったそうだ。

「そこで(私たちは)旧来の通信業者が現在行っているのと同じような速度で通信できることがわかったのです」と、スパンジェロ氏はいう。そして彼女は「コネクティビティは多くの注目を集めていました」と付け加え、Project Loon(プロジェクト・ルーン)のような取り組みが多くの資金を集めていたことに言及した。しかし、このような複数年にわたるプロジェクトの規模と張り合おうとするのではなく、彼女たちは小規模に取り組むことに決めたのだ。

設立から4年半で、Swarmは120基のサンドイッチサイズの衛星によるネットワークを地球低軌道に投入し、従業員も32人に増えた。同社はTileを使用する顧客の開拓にも力を注いできた。Eval Kitは、Swarmのサービスに顧客を呼び込むための新たな手段になると期待されている。

スパンジェロ氏は、このキットについて「色々なことをして遊ぶのが好きな、初心者と専門家の間にいるすべての人たちのためのものです。そして、ただ遊ぶだけではなく、遊ぶことでイノベーションやアイデアが生まれ、それが世界に展開されていくのです」と語った。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:SwarmIoT人工衛星通信

画像クレジット:Swarm

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

150の超小型人工衛星でIoT用ネットワークを提供するSwarmが安価な料金を発表

Swarm Technologiesの新しい人工衛星のネットワークは低帯域幅、低消費電力の接続性を提供することを目的としている。同社はその料金体系を発表した。それによると、119ドル(約1万2600円)のボードがプロダクトに統合されて販売される予定(Swarmリリース)なので、ホームセキュリティ用のカメラは無理でも、果樹園の蜂の巣モニター(未訳記事)や野生保護区の監視プラットフォームには計り知れない価値があるかもしれない。

Swarmのボードはガム1枚ほどの大きさで、IoTデバイスが必要とするデータレートと低消費電力で常時接続を提供する。結局のところ気圧モニターや地震活動検知器、携帯電話の通信範囲から遠く離れた場所で作動する車両などは、ほんの数バイトのデータを送受するだけだ。

これらのデバイスを従来の非同期衛星ネットワークに接続することはもちろん可能だが、高価でかさばる上に電力を消費する。Swarmは同様のサービスを1/10の料金で提供する。同社の基本データプランでは、1パケットあたり最大200バイトのパケットを毎月最大で750パケットまで提供する。大した量ではないが、多くのアプリケーションにとっては十分だ。

画像クレジット:Swarm

精密農業やスマート海運、ロジスティクスなどの成長産業では、インターネットの接続費用を抑え、接続性を高めることが重要だ。世界中のどこからでも1時間に一度チェックインする能力が月額5ドル(約530円)で得られるなら、高額を支払う従来の衛星リンクと比べて非常にありがたいだろう。

小型なのはSwarmチップだけではない。その衛星も小さい。そのため同社の「SpaceBEEs」があまりにも小さいためFCCから不要な注目を集めていた。幸いにも2019年にそれらの問題をすべてクリア(未訳記事)してSwarmは今月、2020年9月に最初の12機を打ち上げた。

計画では150基の衛星で構成される軌道上衛星コンステレーションの内、12機を軌道に乗せたばかりであるため、アーリーアクセスとパイロットプロジェクトでネットワークを実証している段階だ。カバーするエリアは狭く、トラフィックにも制限があるが、同社は2021年の半ばにはすべての衛星を軌道に乗せ、ネットワークがフル稼働すると予想している。

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カテゴリー:ハードウェア

タグ:Swarm IoT

画像クレジット:Swarm

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa