金融サービス企業のための機械学習プラットフォームに取り組む新しいスタートアップのTaktileを紹介しよう。機械学習を金融商品に生かそうとする企業は同社が初めてではない。しかし同社はAIモデルを簡単に使い始め、移行できるようにすることで競合との差別化を狙う。
数年前、どのピッチのプレゼンにも「機械学習」と「AI」のフレーズがあったころ、金融業界に的を絞ったスタートアップもあった。銀行や保険会社は山ほどデータを集めているし顧客の情報もたくさん知っているのだから当然だ。銀行や保険会社はこうしたデータを使って新しいモデルをトレーニングし、機械学習アプリケーションを展開できるだろう。
新しいフィンテック企業は社内にデータサイエンスチームを作って自社プロダクトのための機械学習に取り組み始めた。Younited CreditやOctoberといった企業はリスク予測ツールを融資の判断に役立てている。これらの企業は独自にモデルを開発し、過去のデータに基づいてそのモデルを動かすと有効であることを把握している。
しかし金融業界に古くからある企業はどうだろうか。既存の銀行のインフラと統合できるプロダクトの開発に取り組んでいるスタートアップはいくつかある。AIを使って疑わしい取引を見つけたり返済能力を予測したり保険請求の不正を検知したりすることができる。
保険に特化したShift Technologyのように成長しているスタートアップもある。しかし概念実証をしてそこで終わってしまうスタートアップが多い。その先に、長期にわたる有意義なビジネスの契約はない。
Taktileは取り入れやすい機械学習プロダクトを開発することでこうした問題を克服したいと考えている。同社はIndex Venturesが主導するシードラウンドで470万ドル(約5億1700万円)を調達した。このラウンドにはY Combinator、firstminute Capital、Plug and Play Ventures、数人のビジネスエンジェルも参加した。
同社のプロダクトはそのまま使えるモデルでもカスタマイズモデルでも動作する。顧客は自社のニーズに応じてモデルをカスタマイズできる。モデルはTaktileのエンジン上でデプロイされメンテナンスされる。顧客のクラウド環境でもSaaSアプリケーションとしても動作する。
導入後はAPIコールを使ってTaktileのインサイトを活用できる。プロダクトに他社のサービスを統合するのと同様の動作だ。Taktileは自動で下された決定に関する説明や詳細なログを提供して、できるだけ透明性を高めようとしている。データソースとしては、データウェアハウスやデータレイクのほかERPやCRMシステムにも対応している。
まだ初期段階のスタートアップであり、Taktileのビジョンが成功するかどうか気になるところだ。同社はすでに経験豊富な支援者たちを説得している。今後に注目しよう。
画像クレジット:Taktile
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(文:Romain Dillet、翻訳:Kaori Koyama)