今年に入ってアジアのテクノロジー・ブログの活動が目立つようになってきた。シンガポールに本拠を置くE27はこのほど65万ドルのつなぎ資金を調達したが、年内にさらに大きな資金調達ラウンドを準備している。
2006年に創立されたE27はアジアのテクノロジーとスタートアップのニュースを報ずるブログで、 関連するイベントも運営している。フラグシップとなるイベントはEchelonカンファレンスで、今年はBraintreeがスポンサーとなって2日にわたって開催された。
TechCrunchが複数の情報源から聞いたところによると、今回既存の投資家から調達された65万ドルは、今年中に予定されている本格的な資金調達(300万ドル前後とされている)を行うまでのつなぎの資金だという。
E27の共同ファウンダー、CEOのMohan BelaniはTechCrunchの取材に対して資金調達の事実は認めたが、使途など詳しい情報を明かすことは避けた。
E27は2013年に61万5000ドルの資金を調達している。投資家には8capita Partners、Ardent Capital、B Dash Ventures、Pinehurst Advisorsなど東南アジアのベンチャーキャピタルが数多く含まれている。
今回のE27の資金調達のタイミングは、その最大のライバル、今年Y-Combinatorのクラスを卒業したTech In Asiaがテクノロジー・コミュニティーのハブとなるべく400万ドルを調達したことと関係があるかもしれない。Tech In Asiaは、E27やわれわれTechCrunchのようなストレートなニュースブログからユーザー生成コンテンツ(UGC)を本格的に取り入れたソーシャル・メディア的な方向に戦略を転換している。
ユーザー生成コンテンツ、特にAsk Me AnythingスタイルのQ&A機能は興味ある情報を生み出しており、トラフィックの急増をもたらしているという。一方で、TechCrunchが聞いたところでは課題もあるようだ。われわれはアジアのテクノロジー界の有力者から、UGCの導入後、Tech in Asiaのニュースの品質が急落したという強い懸念の声を聞いている。この懸念が実際Tech In Asiaがまさにターゲットしているコミュニティーに広く共有されているすれば大きな問題だ。
逆にE27にとっては、信頼できるストレートなニュースを提供することでTech In Asiaに対して差別化を図れるチャンスかもしれない。今回の資金や近く調達予定の資金はこの方向に投資されるのかもしれない。事情に通じた情報源よれば、現在E27のトラフィックはTech In Asiaを大きく下回っているという。Tech In Asiaは最近、月間で2400万のページビューがあると発表している(E27はトラフィックについて詳細を明かすことを避けた)。
しかしまずは300万ドルの資金調達が実現するかどうか、また実現した場合、誰が投資家として参加するかが注目される。
もちろんアジアにおけるテクノロジー・ブログはTech In AsiaとE27(それにわれわれTechCrunch)だけにとどまるものではない。プリント・メディアのベテラン・ジャーナリストによって作られたDigital News Asiaも昨年30万ドルの資金調達を行っている。またDeal Street Asia もアジアでの取材チームの拡充に力を入れている。同サイトは最近、E27が売りに出ているという記事を掲載した。しかしE27に近い情報源がわれわれに述べたところではそのような事実はないという。
地域は少し離れるが、この3月にNews Corpはインドのメディア、VC Circleを買収している。
皮肉なことに、ライバルのTech In Asiaが400万ドルの調達に成功したことが投資家にアジアのおけるテクノロジー・メディアは有望な投資先だと考えさせることになり、E27の資金調達のチャンスを拡げたのかもしれない。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)