IBMのワトソンは、当分人間に取って代わらない

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IBMの人工知能システム「ワトソン」が驚くべきテクノロジーの結晶であることに疑いはない。それは構造化されていない膨大なデジタルデータを検索し、際立った速さで答えを見つけ出す。しかし、人間を置き換えることは当分なさそうだ。IBMでワトソンチームを率いるJohn Kelly博士が今日(米国時間9/21)、本誌のAlex WilhemにサンフランシスコのTechCrunch Disruptで語った。

むしろこのシステムは人間を補強し、より良い決定を下す手助けをすると彼は言った。

ワトソンの純粋な知識力を披露するために、インタビューはデモから始まった。Wilhelmは、オンライン百科事典Wikipediaの正確性を尋ねる一連の質問を選んだ。わずか数秒後、ワトソンはWikipediaの全項目を精査して信頼性ある情報源であるかどうかを判定した。証拠内容を確認した後、ワトソンはWikipediaが実際に正確な情報源であるという決断を下した。

この種の能力に、スタートレックから飛び出してきたコンピューター合成音声応答を組み合わせたものは、12〜18ヶ月のうちに開発者向けに提供されるとKellyは言った。

ワトソンと聞いておそらく誰もが思い出すのは、クイズJeopardyの歴代チャンピオンたちを倒した時のことだろうが、今のワトソンはもっとはるかにすごい。Kellyによると、彼らがJeorpardy向けにシステムを作ったときは純粋に質問と答のエンジンだった。

今やワトソンは、Wikipediaデモで見せたようにあらゆるデータを消化しどんな大きな情報源でも取り組む。例えば、ある病気に関する入手可能な全文献を評価し、医師らと協議して最適な治療方法を見つけることもできる。これは、機械が医者に取って代わるのではなく、医者が正しい決定を下すのを手助けするものだ。

ワトソンはあなたのお役にたちます

IBMが2011年にあのJeopardy!出演に向けてワトソンを開発した時、それはハードウェアとソフトウェアの強力な組み合わせだった。今同社はその機械生成された全知能を元に、開発者向けに一連のサービスを作りあげた。

Kellyいわく、ワトソンボックスを作ることもできたが、クラウドに置きAPIを通じて利用できるようにすることが、このテクノロジーを広める最適な方法だと考えたという。

「ワトソンは、一つの物ではなく、様々な統計学習エンジン群の集合だと考えて欲しい」とKellyは言った。「面白いことに、あまりに強力なので売り込む必要がない」。開発者が使いたくなることは間違いない。

つい昨日、TechCrunch Disrupt ハッカソンで複数のチームがワトソンのツールを使ってハック作品を作り、その中には人工知能ニュース発見アプリのKnoもあった。

Kellyは、会社が未だに過去の重苦しい「ビッグブルー」のイメージを脱却し、開発者や投資家をワトソンプラットフォームに引きつけようとしていることを認めた。開発者の数が飛躍的に増えている一方、未だにシリコンバレーのコミューニティーを取り込めていないと彼は言う。Kellyはそれを改善するための取り組みを進めていることを示唆した。

システムは膨大な能力を有している。課題は、特定のヒジネス問題に焦点を絞ることで、同社はWatson HealthおよびWatson Financeで具体的な業界の問題にソリューションを提供しようとしている。

いずれにせよ、システムを支える技術的基盤のすごさに疑う余地はない。

「これは生まれたばかりのテクノロジーだ。これから世界を変えていこうとしている。偏見なく不完全な情報を使うことなく決断を下すところを想像して欲しい」とKellyは言った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook