Tierが電動キックスケーターに折り畳み式ヘルメットを配備

ヨーロッパのモビリティ事業者であるTier(ティア)は、大手の電動キックスケーター企業として初めて、ヘルメットを車両に搭載する。折り畳み式のヘルメットはハンドルバーの下の箱の中に収められる。5月中にTierはヘルメットを搭載した電動キックスケーターをパリとベルリンに200台配備する予定だ。そして夏には、同社はさらに5000台のヘルメット搭載キックスケーターを配備する。

査読付き医学雑誌「JAMA Surgery」が今年発表した研究によると、電動キックスケーターでの怪我は過去4年間で約3倍に増えているという。調査に参加した人のうち、ヘルメットをかぶっていたのは5%未満で、調査対象者の3分の1が頭部外傷を負っていた。

さらに新型コロナウイルス(COVID-19)に関する懸念から、TierはProtexusの抗菌・自己消毒ハンドルバーの技術を実験している。Tierはこのハンドルバーを、パリとボルドーでテストしている。

なお、ペダルレスの電動自転車を運営するWhiesは、これらの両方の機能と装備をすでに実装している。昨年12月にはリアフェンダーにロックされ、ライダーがヘルメットをかぶっていることを感知できるスマートヘルメットシステムを車両に導入した。同社は3月には、セルフクリーニング式のハンドルバーとブレーキレバーを備えた電動自転車を、週単位または月単位でレンタル(未訳)できるようにした。

2018年に設立されたTierは、これまでに1億3100万ドル(約140億円)の資金を調達している。2月には、シリーズBラウンドを1億ドル(約110億円)以上に拡大(未訳)した。その数日後、同社はCoupの電動スクーター事業を買収し、Tierによる電動スクーターのシェアサービスを開始すると発表(未訳)した。ベルリンを拠点とするTierは、現在11か国55都市で事業を展開している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

欧州の電動スクーターレンタルTierがシリーズBで45億円を追加調達

欧州の11カ国55都市で操業している電動スクーターレンタルのTier(ティアー)がこの4カ月で2度目となる資金調達を行った。

ベルリン拠点の同社は、昨年10月時点で6000万ドル(約67億円)としていたシリーズBラウンドを1億ドル(約112億円)に引き上げた。追加分はモスクワのRTP Global、ロンドンのNovator、名称は明らかにされていない米国のデットファンドが提供する、エクイティとデットの組み合わせだ。シリーズBの第1段階はMubadala CapitalとGoodwater Capitalがリードした。

追加で調達する資金はさらなる効率アップと車両開発のためのR&Dに注ぐとしている。いわゆる「マイクロモビリティ」のスタートアップはまた、管理チームの強化も継続する。同社は最近、新CCOと新COOをリクルートした。そしてM&Aも追求する。

加えてTierは「欧州でより多くの人、より多くの町に持続可能なモビリティ」をもってくるために、展開する車両を拡大する。それらはおそらく新しいカテゴリーのマイクロモビリティプロダクトとなる。

一方でTierは1月に英国のスタートアップPushme Bikesを密かに買収していた。交換可能なバッテリーやモビリティ関連ハードウェアのメーカーだ。同社は“ラストマイル交通”のためのバッテリー交換ステーションのネットワークを構築中だと考えられていた。これは、Tierの従来のスクーターを交換可能なバッテリーを使った新スクーターに置き換える最近の動きと直接つながっているようだ。

WhatsAppでの短いコールの中で、Tierの共同創業者でCEOのLawrence Leuschner(ローレンス・ロイシュナー)氏は、Pushme Bikesの買収はデザインと開発の専門性に鑑みる人材獲得のためのものとした。同氏はこの買収が将来のハードウェア計画の推進力となるとみている。

同氏はまた、交換可能なバッテリーを搭載した電動スクーターへの移行は、80%完了したと語った。これは収益性アップに貢献する。なぜかというと、バッテリーが交換可能であれば通りにあるスクーターを回収して、バンに乗せ、充電とメンテの施設に運び、その数時間後にまた元の場所に戻す、ということをする必要がないからだ。それに引き換えその場でのメンテでは、新しいバッテリーに変え、空のバッテリーを回収し、カーゴ電動自転車に載せて中央充電施設または近くの充電ハブに運べばいい。

ほかの電動スクーターレンタル大手とは異なり、Tierは充電にギグワーカーではなく、サービスの質を維持するために一元的なシステムを使っている。同氏は、交換可能なバッテリーの技術はより価値の大きい一元システムを意味すると指摘したうえで「ギグエコノミーは(電動スクーターレンタルにおいては)死んでいる」と強調した。

もしかすると、Tierが古い電動スクーターを新しいものと取り替えた後それらをどうしたのか気になる人もいるかもしれない。この点について同氏はOkaiが製造したスクーターは個人向けにMyTierアプリを通じてドイツの消費者に転売された、と説明した。 ロイシュナー氏が以前、中古家電における欧州マーケットのリーダー的存在であるreBuyを設立していたことを考えれば、そう驚くことではないだろう。

RTP Globalのパートナーを務めるAnton Inshutin(アントン・インシュティン)氏の声明は次の通りだ。「我々はTierが資本効率やオペレーショナル・エクセレンスの向上について細部にわたって注力していることに感銘を受けた。彼らは業界をリードする収益性を手にし、この冬に収益を拡大させることができた。同社は引き続き拡大を続ける。この分野で無敵である優れたチームと提携することをとても楽しみにしている」。

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(翻訳:Mizoguchi