中国生まれの音声ネットワーキングアプリ「Tiya」、国際的な事業展開を進めるべくシンガポールに本社を設立

TikTok(ティックトック)は、おそらく中国から生まれた最も成功したアプリであり、国際市場への印象的な進出を果たしている。しかし、中国で開発されたより小規模なエンターテインメントアプリにも、海外で事業を展開しているものが数多くある。

Tiya(ティヤ)もその1つだ。中国のポッドキャスティングプラットフォームであるLizhi(リーチ)から生まれたこのアプリは、音声ベースのリアルタイムなネットワーク体験を提供する。その名前に聞き覚えがあるかもしれない。そう、TiyaはよくClubhouse(クラブハウス)と比較されているのだ。そして、そのClubhouseが2021年流行したおかげで、2021年春にLizhiの株価は急上昇した。

しかし、Tiyaの背後にあるアイデアは、Clubhouseの隆盛(と没落)よりも先行していた。2019年にローンチしたこのアプリは、Clubhouseとはかなり違った人々を魅了しており、その多くは一緒にゲームをしながらチャットをするために利用している。2013年に設立された親会社のLizhiは、早くから音声コンテンツにインタラクティブな機能を取り入れ、リスナーがクリエイターにメッセージを送ったり、バーチャルギフトを購入したりできるようにした。バーチャルアイテムを販売するというビジネスモデルは、すぐに収益の柱となった

Tiyaはこの3年間、デビューした米国で着実に人気を博してきたが、さらに海外展開を進めようとしている。同社は現地時間2月7日、シンガポールの中央ビジネス地区に、Yahoo(ヤフー)やGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)などの大手企業と並び、1万平方フィート(約930平方メートル)の本社を設立したことを発表した。

このオフィスの開設にともない、早ければ2022年の第1四半期にはシンガポールで同アプリのダウンロードが可能になる予定だ。Tiyaは全世界で約2000万件のダウンロードを記録しているものの、そのうちアクティブユーザーがどれほどいるかは明らかにされていない。

中国のテック企業が、国際的な事業展開を進める中で、海外に拠点を置くことは自然な流れだ。例えば、TikTokは世界的に普及が進むにつれて、中国国外での運営体制を大幅に強化し始めた。TikTokは、ユーザーのデータをシンガポールに保存しているというが、これは西側の規制当局がデータセキュリティへの懸念を強めているためだ。中国の新しいデータセキュリティ法では、企業が海外にデータを移動する方法についても規制を厳しくしているため、企業にとっては国内外のデータを分離することが得策となる。

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Tiyaのシンガポール本社には、ビッグデータ、人事、ユーザーリサーチ、管理、運営などの機能を担当する部署が置かれ「技術プラットフォームと製品開発計画」を支援するチームになると、同社は今回の発表で述べている。同社は、2022年末までにこの都市国家で「完全に運用可能なチーム」を持つことを目指しており「最新バージョンのアプリを世界各地で順次展開する」計画を立てているという。採用活動の一環としては、南洋理工大学とパートナーシップを結び、新卒者を募集する。

Tiyaの会長であり、Lizhiの創業者でもあるMarco Laii(マルコ・ライ)氏は「Tiyaをシンガポールに導入し、世界に通用する才能を持った現地のチームと協力することで、我々はこの地域でより大きな成功を収めることができると確信しています」と語っている。

画像クレジット:The Tiya app. Photo:App Store

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(文:Rita Liao、翻訳:Hirokazu Kusakabe)