Chefは、ソフトウェアやインフラストラクチャの構成や管理、それらの自動化で企業を助けてきた。その同社が今日(米国時間11/3)、同様の自動化サービスをコンプライアンスにおいて提供するための発表をいくつか行った。
まず同社は、ドイツのコンプライアンスとセキュリティの企業VulcanoSecを買収したことを発表した。実際に買収が行われたのはこの夏だが、発表を今日行った、という。買収の条件等は公表されていない。
同時に同社は、VulcanoSecのコンプライアンス技術(コンプライアンステストの自動化やメンテナンス)をChefに統合することを発表した。これからはChefのユーザがChefのワークフローの中でコンプライアンスの試験や執行を行えることになる。
さらに同社は今、Chef Deliveryというものを作っている。それは、4月に発表したワークフロー自動化ツールが今日一般公開されたもの、ということだ。それはいわば、工場の組立ラインのIT版みたいなもので、自動化されたワークフローが、必要なものを必要なタイミングで、そのワークを担当する適正な人びとにプッシュしていく。
Chefは、社名以外の部分でも料理のメタファを使う。たとえばユーザはワークの「レシピ」を作り、それらを「クックブック」にまとめる。それらはスクリプトとして書かれたインストラクションマニュアルで、そこに、アプリケーションやインフラストラクチャやコンプライアンスが執り行うべき処理(プロセス)の集合がある。Chef Deliveryにはプロジェクトをワークフローの処方に従ってトリガする働きもあり、クックブックに記されているすべてのマイルストーンを確実に実行していける。
Chefの事業開発担当VP Ken Cheneyによると、コンプライアンスは規約の集まりだと考えると分かりやすい。企業という艦隊の全体を、一連のルールに従って評価し、コンプライアンスを逸脱しているところを見つけ、違反の重大性を見極める。そんな情報が手元に揃えば、問題を修復する方法も分かり、インフラストラクチャを実際に動かす前に対策を講じられる。
それにより全体としてのChefプロダクトが、ソフトウェアとインフラストラクチャとコンプライアンスのすべての側面を自動化できるようになり、デベロッパとオペレーションチームの双方が快適で使いやすいツールを手中にする。彼らが作る自動化ワークフローにより、プロセスのスムーズな流れが生まれ、維持される。
Cheneyによると、昔のITは優秀なプログラマたちがロックスター気取りで長時間仕事をし、プロジェクトを仕上げる場所だったが、今のように、変化が月単位〜年単位ではなく数日〜数時間単位で起こり、対応を迫られるIT環境では、何らかの自動化によって開発プロセスを進めて行かざるをえない。イノベーションに向かう企業の意思決定も、そのような自動化が安定して動いているからこそ、余裕をもって早めに行うことができる。そういう意味では、Chefのサービスは企業のバックボーンでもある。