Google(グーグル)のWaymo、Uber、Cruise、Auroraは交通ルールに基づき、すべてのケースに対応するシステムをあらかじめ組み込み、たくさんのセンサーから得られるデータによる自動運転を実現しようとしている。これは非常に秩序立った環境では上手くいくが、現実のように刻々と状況が変わる環境に柔軟に対応することができない。
一方でマンパワーや設備の限られているスタートアップは、AI(人工知能)による問題解決を試みている。英国ベースのスタートアップ「Wayve」もそのうちの1社で、とうとう世界初のマシンラーニングを活用した自動運転のデモに成功したと主張しているのだ。
Wayveのシステムは、マシンラーニングにて一度もトレーニングしたことがない道を走ることができ、さらに高解像度マップも必要としない。これは、Waymoとの大きな違いだ。なお、テスト車両には2019 ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したジャガーの「 I-PACE SUV」を利用している。奇しくも、これはWaymoと一緒だ。
Wayveの創業者かつCTOを務めるAlex Kendall氏はTechCrunchに対し、「我々の車両はマシンラーニングのデータから運転を学習する。また、必要な場合には適時ドライバーが運転を取って代わり、これによりさらに学習が進められる。運転方法を教わるのではなく、人のように経験や具体例、フィードバックから学習するのだ。これは今日の他社のアプローチよりも安全かつ効率的だ」と述べている。
Wayveはケンブリッジ大学と共同で、英国の公道にて広域なテストをすでに実施している。
Kendall氏「他社によるアプローチは、高解像度マップや高価なセンサー、あらかじめ組み込んだルールによって、車を制御するというものだ。しかし我々はエンドツーエンドなマシンラーニングを採用した。これにより、世界初の公道での走行を可能にしたのだ。他社に比べ、コンピュターやセンサーの費用は10%以下しかかかっていない」
下の動画は、英国のケンブリッジにてWayveの車両が走行する模様だ。衛星ナビによるルートマップとベーシックなカメラだけで、未知の道を走行している。
「我々は運転の仕方について、あらかじめルールを組み込むことはしない。すべてはエンドツーエンドのマシンラーニングによる、データからの学習を利用する。これにより、未知の細くて複雑なヨーロッパの路地も走行できる」
「我々のシステムは車両の緯度と経度(ハンドル操作とアクセル操作)から、エンドツーエンドのマシンラーニングにより学習する。車両コントロールに最も必要な入力データを学習することで、より効率化が進むのだ。実際に、システムは一般的なラップトップで動作している。これによりセンサーやコンピューターの費用を10%以下にまで大幅に削減しているのだ」
おそらく英国のスタートアップが自動運転業界における大幅な進展を遂げたことは、今後確認されることだろう。なお、Wayveの出資者としてはUberでチーフサイエンティストを務めるZoubin Ghahramani教授の名前のみがあげられている。
[原文へ]
(文/塚本直樹 Twitter)