オープンソースのWebサーバNGINX(+ロードバランサ、HTTPキャッシュ、リバースプロキシサーバ)が今月で10歳になり、その商用バージョンNGINX Plusは同じ月に最初の誕生日を迎える。その記念として同社は最近の利用状況の数字を公表し、また本誌はCEO Gus Robertsonに取材することができた。
同社によると、最近の12か月でNGINXのユーザは54%(約1.5倍)増加し、ビジター数上位1万のサイトの中では41%の市場占有率を持つ。最近4年間のユーザの増加率は、400%(5倍)である。すごいのはそれだけでなく、商用バージョンは有料ユーザ数250に達し、Q2からQ3にかけての成長率は164%を記録した。
Robertsonによると、NGINXのユーザは、メディア、エンタテイメント、eコマース、テクノロジ、金融、教育など多様な業種に分散している。“これらのアカウントは、大規模な消費者向けWebサイトのように機能するWebアプリケーションを、アプリケーションのデリバリ層をカスタムメイクするための開発/エンジニアリング(展開〜管理)費用を要さずに配布したい、という願いからNGINXを利用している”、とRobertsonは語る。
商用サービスを立ち上げたときの最初の動機は、大規模なWebアプリケーションへの対応だった。そのねらいは成功したが、しかしRobertsonによると、その後すぐに悟ったのは、“多くのアプリケーションが、モンスター的Webアプリケーションのようにスケールしたいというニーズを抱えていない。むしろ、すばらしく速いレスポンスタイムやアップタイムの最大化、完全なモバイル対応などによる、ユーザ体験の向上を求めている”ことだった。彼が例として挙げる富裕層向けの銀行アプリケーションでは、トラフィックはささやかな量だが、口座チェックや取り引き確認のためにものすごく速いレスポンスタイムが要求された。
NGINXの将来の姿としてRobertsonが挙げるのは、アプリケーション自身がネットワーキング機能を持つという最近のトレンドだ。“アプリケーションを支えるインフラストラクチャやネットワークだけがネットワーキング機能を担当するという旧来の姿から、アプリケーション本体がその機能の一環としてネットワーキングを差配するようになる”。しかも、“クラウド環境の台頭、DevOpsチーム、それにLinuxコンテナのような技術、…これらはすべて、アプリケーションの真の抽象化という方向へわれわれを引っ張っていく。これまで下位のネットワーク層に縛られていたアプリケーションの機能も、抽象化されなければならない”、と彼は述べる。
このトレンドのコアはあくまでもWebサーバだが、ロードバランシングやキャッシング、メディアストリーミング、セキュリティなども、アプリケーションのデリバリにおいて重要な役を担う。当然ながら、NGINXにはすでにこれらの機能が揃っている。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))