Twitterはすごい、のまた一例: ケンブリッジ大学の言語学者たちが、ツイートを分析して、イギリスのケルト語系言語の一つであるウェールズ語の使われ方の変化を調べている。ウェールズ語はウェールズの住民の1/6(約56万人あまり)が使っているにすぎないが、でもその多くがツイートもウェールズ語でやっているため、研究の出発点となるには十分な量の生(なま)データが得られるのだ。
ケンブリッジ大学の理論および応用言語学部(Department of Theoretical and Applied Linguistics)のDavid Willis博士は、研究におけるTwitterの役割を次のように述べる…中でもとりわけ言語学にとって有益なのは、それが日常的な会話言語であることだ。つまり、人が日常使っているとおりの言葉であること:
言葉の日常の用例を拾おうとするときの難題は、回答者が緊張して構えることなく、こちらが求めるふつうの言葉を語ってくれることだ。特定の構文について、それがどの地方の人びとの言葉かを知りたいとき、通常なら、相当な時間をかけて試験的研究を行わなければならない。しかしTwitterなら、人びとが実際に使っている言葉そのものを、30分で捕捉できる。
私の中心的な関心は言語のシンタクス–文の文法的構造にある。そして私の長期的なねらいは、ウェールズ語方言のシンタクスの総覧集を作り、言語の今日的な使われ方と、その変化の原因となっている多様な影響要素を理解することだ。そのために必要なのは、ウェールズ語を話す人口を構成している多様なセクタから口語の実例を集めて、時空双方にわたる比較を行うことだ。
Twitterを利用することによってWillisは、ウェールズ語が今どのように変わりつつあるかという、変化の諸側面を同定できた。そしてそのデータを利用して、次のフィールドワークで行う口頭インタビューのための質問を作った。
これまでの研究で同定された言語学的変化には、代名詞や多重否定形の使い方が、ウェールズ語を家庭で学んだか学校で学んだかによって違うことが挙げられる。学校で学んだ者のウェールズ語には、英語的な構文が紛れ込みやすいのである。
研究社たちによると、ウェールズの人口の約1/5はウェールズ語で学校教育を受けるので、言語の取得場所の違いに関するこのようなデータは、ウェールズ各地における今後のより適切な言語教育方針の確立に資するであろう。たとえば、第二言語としてのウェールズ語はどの形のものを教えるべきか、あるいは、学校でもウェールズ語の方言と書記言語(書き言葉)としての標準ウェールズ語の両方を認めていくべきか。
下の画像は駐車(ウェールズ語で‘maes parcio’)に関するお喋りのツイートだが、これが今後の言語教育の方針確立に役立つのだ。そのわずか140文字の情報片が、これだけクールにお役に立つとは。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))