VantivならびにJPMorganが、買収のためにアプローチして来ていることを、決済会社のWorldpayが認めてからわずか1日後、本日(米国時間7月5日)同社はそのうちの1社Vantivからの提案に合意したことを発表した。Vantivは1株あたり3.85ポンドを提案しているため、合計として約77億ポンド(100億ドルに少し欠ける)を同社に支払うことになる。WorldpayはVerifone、PayPal、Stripe、などを筆頭にする多くのオンラインならびにPOSペイメント企業と競合している。
(本日の発表では、Worldpayの株式1株につき3.85ポンドとされたが、最終的な正確な価格は、取引が終了した時点でのVantivの株価に依存するということを、Worldpayは私に述べている。Vantivはニューヨーク証券取引所で取引されており、もし取引が進めばWorldpayはロンドン証券取引所から上場廃止されることになると、Worldpayは本日発表した。Worldpayの株主たちは、取引終了時にVantivの株の約41%を所有することになる)。
このニュースは、Worldpayの株式を、昨日の投機的取引で大幅に上昇させた後、下落させた。
両社は現在、英国の規制に従って、8月1日までに完了させるデューディリジェンスプロセスに着手しており、その傍ら彼らは契約の理由を概説している。
「WorldpayとVantivの取締役会は、WorldpayとVantivの補完的な事業を組み合わせることの、魅力ある戦略的、商業的および財務的合理性を知っています」と、Worldpayはマーケットに発表した声明で述べた。「この実質的な合併は、ダイナミックなマーケットに巨大な世界規模の決済グループを誕生させます。強力なペイメント機能、プロダクト、垂直的専門知識と世界のeコマースマーケットの中で取引を支える強力な流通経路、そして米国と英国マーケットにおける店舗ならびにオンライン機能が提供されます」。
確かに、この取引は競合他社のネジを締め上げるだろう。電子商取引は基本的に低利益で大規模な事業だが、Vantivはこの取引で規模を手に入れる。同社は、そのビジネスは米国、欧州、アジア太平洋および南米を網羅し、そこには「世界最大級のeコマース企業や、欧州と米国における相当な商取引基盤が含まれる」ことになる、としている。
今回の取引に伴う、いくつかの統合も見込まれている。「WorldpayとVantivの取締役会は、株主価値の創出を助けてくれる、コストシナジーの大きなチャンスを見ています」とWorldpayは語っている。
両社は事実上合併し、Charles Druckerが会長と共同CEOを兼ね、Philip Jansenがもう一人のCEOに、Stephanie FerrisはCFOに就任する。
昨日(米国時間7月4日)に述べたように、現在Worldpayはオンラインや物理店舗向けの決済サービスを提供するたくさんの既存金融スタートアップと競合している。しかし同社自身は新しいハイテクの波に乗った企業ではない。むしろ既存の銀行によって、混乱を回避するために設立されたサービスの1つなのだ。
最初のドットコムウェーブ以前の1989年に、英国のNatWest Bankの子会社として始まり、最終的にNatWestとRBS(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)の合併に伴いRBSの一部となった。その後、RBSが危機に陥った際に、救済のために欧州委員会との間で締結された売却契約の一部として、2009年に独立した。
上場は2015年に行われた。
Worldpayは、サービスに対する悪意のあるハッキングで紙面を賑わすこともあったが、決済事業の開拓者としての動きも続けて来ている。例えばVRペイメントのプロトタイプの開発や、安全なスマートフォンベースの決済サービス(これは携帯電話の非接触チップを使った読み取り機能とアプリで構成されていて、追加のハードウェアは不要)の開発などを行なって来た。
VantivにはWorldpayと共通する出資者がいる。現在では商取引企業の買収では米国最大手のAdvent Internationalだ(同社は昨年一種の批判に晒されている:同社がFanDuelとDraftKingsから決済処理を受けた時、進行中だった両社に対する訴訟の場に呼び出され、それらが賭博サービスか否かについての喚問を受けた際に話題になったのだ)。
Worldpayは、米国最大のVantiv社が、より多くの市場へ拡大できるよう支援する。Worldpayによれば、同社は現在約40万の顧客にサービスを提供し、146カ国と126の通貨で決済処理を行なっている。なかでも英国は、すべての事業のマーケットシェアが40%を超える最大の国だ。
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(翻訳:Sako)