「サービス版Amazon」を目指す、スキルマーケット「ココナラ」運営が東証マザーズに上場

2021年3月19日、ココナラが東証マザーズに上場した。創業は2012年1月。同社の主力サービスは、2012年7月にリリースした「知識・スキル・経験」を売り買いできるスキルマーケット「ココナラ」だ。

2021年2月10日、上場承認の際に公開されたココナラの「新規上場申請のための有価証券報告書」によると、現在の会員登録数は約197万人で、出品サービス数は40万件に上る。2020年度通期の有料購入UU(有料サービスを購入したユーザー数)は昨年比38%増の24万3077人。ARPPU(有料サービスを購入したユーザーの1人当たりの平均購入金額)は昨年比17%増の2万5525円で、流通高は約62億円だ。

ココナラはスキルマーケット「ココナラ」と並んで、弁護士が探せる検索メディア「ココナラ法律相談」と、レッスンや出張撮影といった対面で提供するサービスの出品、購入ができる「ココナラミーツ」を提供している。

今回、上場にあたり、ココナラの代表取締役社長CEOを務める鈴木歩氏に上場の意気込みと同社の今後の展望について話を聞いた。

鈴木氏は2016年5月よりココナラに参画し、2020年9月に同社の代表取締役社長CEOに就任している。ココナラの創業者で前代表取締役社長の南章行氏は、そのタイミングで代表取締役会長に就任し、現在は代表2名体制でココナラを運営している。役割分担としては、鈴木氏がプロダクトのオーナーとして事業戦略や推進のを含め事業全般を担当し、南氏がIR、PR、採用と言ったコーポレート側を担当しているそうだ。

ココナラ代表取締役社長CEO、鈴木歩氏

「サービス版のAmazon」を目指す

ココナラが目指すのは「サービス版のAmazon」と鈴木氏は話す。

「物に対して、物以外のすべてを我々は扱うという意思表示をこめて我々は『サービス版のAmazon』になると言っています。Amazonのビジネスモデルのようになりたいというよりは、日用品だったらとりあえずAmazonに行けばなんとかなるという考えが浸透していると思っていて、ココナラもそうした存在になりたいという意味でのAmazonです。何か困ったときにココナラに来れば、すべての人とサービスをマッチングできて、問題が解決する状態を作っていきたいと考えています」。

それを実現する戦略として、どんなユーザーが訪れても、彼らの望みを叶えられるような『ココナラ経済圏』を作っていきたいと鈴木氏は話す。

「あらゆるカテゴリーを扱い、あらゆるユーザーが訪れるようになると思います。そこで社内ではココナラ経済圏を作っていきたいという話をしています。どのようなユーザー属性の方が、どのようなニーズでココナラを訪れたとしてもそれを叶えられるよう、多角機能開発を進めるということです」。

これについて鈴木氏は具体的な戦略をいくつか説明した。1つは、オンラインに限らずオフラインなどでもサービス提供の手法を拡張すること。これはオフラインのサービスを出品、購入できる「ココナラミーツ」で取り組み始めている。2つ目はココナラで取り扱うサービスのカテゴリーの拡充。当面は、ココナラ内のカテゴリーを拡充することを考えているが、すでに提供している「ココナラ法律相談」のように、必要に応じてバーティカルのプロダクトを立ち上げることも検討するそうだ。3つ目は出品者と購入者のマッチング手法の多様化。これまで出品者は購入者に対して1対1でサービスを提供していたが、サービスをパッケージ化し、1対他に販売する機能を強化していくという。4つ目は、法人向けに機能開発を強化し、個人から中小企業、大企業まで利用できるようにする。

こうした施策を通じ、2030年には年間5兆2000億円のマーケットシェアの獲得をココナラは目指しているそうだ。上場への意気込みを聞いたところ、鈴木氏はこのようにコメントしていた。

「パブリックになるということは、会社に対する信頼感を醸成でき、認知度を上げるきっかけになりますが、一方で責任も増します。ココナラの事業は順調で、今後の戦略についても、我々がやっていくべきことは明確であると考えています。上場企業として信頼に足るよう、責任を果たしながら、世の中に価値提供していきたいと考えています。

また、『サービス版のAmazon』に1日でも早く近づけるよう、徹底的にユーザードリブンに、とにかくユーザーのためのプロダクトを、ユーザーにとって使い勝手の良いプロダクトを提供し続けたいと考えています。それが結果的にマーケット拡大につながると思うので、シンプルにそこを本質と捉えて頑張っていこうと思います」。

画像クレジット:ココナラ

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。