スマホゲームの開発などを行うgumiは5月30日、仮想通貨およびブロックチェーン技術に特化した投資ファンド「gumi Cryptos」を設立すると発表した。ファンド規模は3000万ドル、日本円にして約30億円だ。
「投資には、僕なりの必勝パターンがある」ーー gumi代表取締役の国光宏尚氏は、TechCrunch Japanの取材でこう語った。
gumiはこれまで、モバイル動画とVRの領域においてスタートアップ投資とインキュベーションを行ってきた。モバイル動画ではCandeeやdelyなどに出資を行い、VR領域ではインキュベーションプログラム「Tokyo VR Startups」からInstaVRやよむネコなどを輩出した。
モバイル動画とVR。それぞれ領域は違えど、gumiによるスタートアップ支援はきれいにパターン化されている。スタートアップにシード・アーリー期から深く関わることでコミュニティを作り、そのメンバー全員で、ある問いに対する答えを見つけるというものだ。
「まず、3〜5年後にくるであろう領域を見つける。それから、その領域で有望なスタートアップのインキュベーションやシード・アーリー期の投資を行う。僕は何についても“〇〇ファースト”なプロダクトやサービスが最後に勝つと思っている。だから、出資先の起業家たちとお互いの成功体験、失敗体験を共有しながら、『何がスマホファーストなのか、何がVRファーストなのか』というのを検証していくんです」(国光氏)
そして、このインキュベーションと投資によって得た知見を自社プロダクトの開発に活かす、というのが国光流必勝パターンの最終形態なのだという。VR領域で言えば、2017年3月に発表されたよむネコのグループ会社化などがその例だ。
そのgumiが、次の“3〜5年後にくる”と読んだのが仮想通貨とブロックチェーンの領域だ。gumiは米国の仮想通貨取引所「Evercoin」の創業者であるMiko Matsumura氏を共同事業者に迎え、2018年2月にgumi Cryptosを設立。3000万ドル(約30億円)規模のファンドを立ち上げた。合同会社であるgumi Cryptosの業務執行社員には、gumi Ventures(グループ傘下のVC)とMiko Matsumura氏が就任する。
同ファンドはすでに、ゲームの配信プラットフォームを開発するRobot Casheや動画配信プラットフォームのTheta(いずれも米国)など5社に出資を実施済みだ。1社への出資額は25万ドル〜100万ドルだという。
「この領域でも同じく、ブロックチェーンならではのモノとは何かを検証していく。その仮説の1つが、ブロックチェーン上ではデータがトレーダブルであり、かつコピー不可という特徴をもつという点だ。これまで、インターネット上のデータはコピーされてしまうものなので、価値を持たなかった。だから、Spotifyも音楽データを販売するのではなく、“音楽に囲まれた日常”というサービスを売ってきた。でも、これからは、ゲーム内のデータがコピー不可でユニークなものとなり、資産性を持つという世界になるかもしれない」(国光氏)
ちなみに、詳細はまだ不明ではあるものの、これまでのパターン通り、gumiはすでにブロックチェーン技術を活用した自社プロダクトの開発に着手しているようだ。