昨年のTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルのファイナリストでスマートロック「Akerun」を提供するフォトシンスが、新たにリモートゲートウェイ端末「Akerun Remote」を7月23日に販売開始する。SIMカードを内蔵していて、AkerunをWeb経由で鍵の開閉ができるようにするゲートウェイ製品だ。価格は3万円で、Akerunとのセットの場合は6万6000円。Akerun Remoteは、ドコモかソフトバンクのSIMカードが利用でき、常時ホスト側と接続している。通信利用料は利用する事務所の規模や登録ユーザー数などによって別途、課金される。
今年4月から販売を開始したAkerunはドアのノブや、鍵のシリンダーを交換することなく、後付けでマンションやオフィスのドアをスマートロック化できるデバイスだ。サムターンと呼ぶ親指でひねるタイプの鍵に対して上から被せる形で設置し、アプリから操作できる。
すでにAkerunは会議室やコワーキングスペース、Airbnbなどで順調に活用されているという。しかし、ユーザーからのフィードバックの中で「ガラケーで使えるようにしてほしい」というリクエストが多くあったとフォトシンス代表取締役の河瀬氏はいう。背景には、B2B領域では根強くガラケーが浸透している点や、アプリのダウンロードは煩雑と考える人が多いことがあるようだ。
Akerun RemoteをAkerunと連携させることにより、Webにアクセスできる端末から、特定のURLにアクセスして「Akerun Remote」が鍵の開閉指示をAkerunに出すことができる。アプリのインストールや登録作業など、5分前後かかっていた開錠までの利用者負担も軽減される形だ。
URLでの鍵の払い出しは、「Akerun Manager」によってユーザーごとに、時間や曜日、パスワード有無など細かく設定が可能になっている。飲食店の仕入業者の出入りや土日のオフィス解放などが利用用途として考えられるという。通常の電子錠の導入だと数十万円かかっていたものが10万円以下で購入できるため、導入を躊躇していた企業や商店からの引き合いがありそうだ。
今回、アプリではなく簡易的にアクセスできるようになったことからセキュリティも強化。Akerun Remoteは暗号化通信に対応しているほか、ワンタイムでのURLの払い出しなども対応しているという。
Akerunのように不特定多数の利用が想定される際は、ガラケーの呪縛がまだまだ存在する。総務省の統計によれば、スマホの世帯普及率は62.6%である一方、ガラケー普及率は94.8%だ。当面は、Akerunのようなスマホ連携のIoTスタートアップでは、ガラケー対応するか、そこを切り捨てるかで頭を悩ませることになりそうだ。