個人事業主向けのWebページ作成サービス「MOSH」を提供するMOSHは2月15日、ジェネシア・ベンチャーズと実名型グルメサービスのRettyを引受先とする第三者割当増資を実施した。調達金額は2000万円だ。
最近では、個人として活躍するヨガインストラクターや英会話講師などの人々がSNSで自分のビジネスをPRすることも多くなったように思う。でも、SNSにはサービスの予約機能などはないから、これだけでビジネスができる、というツールではない。
今回2000万円を調達したMOSHは、そういった個人事業主向けに、情報発信のツールとしても使えるだけでなく、予約機能なども備えたWebページの作成サービスを展開している。
本日より正式リリースとなるMOSHを使えば、必要事項などを記入していくだけで簡単にWebページを作成することが可能。利用は無料だ。
Webページ上には自身が提供するサービスのメニューや予約ページを加えることができるほか、サービスを利用するユーザーが評価したレビューも溜まっていく仕組みだ。Instagramの投稿を自動的にMOSHに反映させる機能もある。
MOSHで作るWebページのデザインはとてもシンプルだ。また、それは完全にモバイルからの閲覧に特化したデザインでもある。
でも、MOSHではそのシンプルなデザインに手を加えることは不可能だ。代表取締役の藪和弥氏に聞けば、デザインのカスタマイズ機能は「あえて省いた」という。
WordPressでブログを作ったことのあるTechCrunch Japan読者なら分っていただけると思うが、デザインのカスタマイズは楽しい反面、それが逆に面倒くささや煩雑さを生みかねない。僕も、本来ならばコンテンツを充実させるべきなのに、デザインのカスタマイズに何日もかけて満足しちゃった、なんてことは何度もあった。
一方でMOSHは、HTMLやCSSの知識がまったくなくても、スマホだけで簡単に始めることができるという手軽さを追求した。その結果、カスタマイズ機能はあえてつけないと決断したという。とても理にかなった選択だと個人的には思う。
MOSHは2017年10月に同サービスのベータ版をリリース。これまでに約100件のWebページが作成されている。MOSH代表取締役の籔和弥氏によれば、ベータ版のユーザーの約半数はヨガインストラクターなのだそうだ。「ヨガインストラクターは個人で活動する人も多く、サービスの単価も高い。だから、ベータ版ではそのヨガインストラクターに的を絞ってマーケティングをした」(藪氏)
今のところMOSHにはまだ決済機能が備わっていないが、同社はその機能を導入後、Webページ上での決済ごとに手数料を受け取りマネタイズしていく。
MOSHは2017年7月の創業。今回のラウンドが同社初の外部調達となる。代表取締役を務める藪氏は、今回のラウンドにも参加するRettyに所属していた人物。彼が入社したのはRettyの従業員がまだ7人ほどしかいなかった頃だというから、かなり初期の段階で加わったメンバーの1人だ。
藪氏は、大学時代にはブレイクダンスに没頭していて、1年生の時には全国大会で優勝をしたこともある。そういった経歴をもっていることもあり、彼の周りには今でもクリエイティブ系の知り合いが多いという。
ただ、彼らのようなクリエイティブ人材が、「すごく努力をしているにも関わらず、経済的には上手くいっていない」(藪氏)という状況に藪氏は歯がゆさを感じていてもいた。その課題をサービスの力で何とか解決したいという想いで立ち上げたのがMOSHだ。藪氏は、「将来的には個人のWebページ作成サービスだけでなく、個人が自分のスキルを売買できるマーケットプレイスも作って行きたい」と今後の目標について語った。