あなたは、自分の乱れた部屋を何百人もの人たちに見せたい、と思っていたかな? 自分の朝食や昼食や夕食の様子をストリーミングして、快感と同時にお金も得たいと思っているかな? 何もすることがなくてスマホの画面を長時間じっと見つめているところを、どうしてもほかの人たちとシェアしたいと思ってるかい? CamSodaが、そんなあなたと契約したいって。
CamSodaは、男や女やいろんな人が服を脱ぐところを実況ストリーミングするサービスだが、今ではユニークなライフストリーミングもやっている。あなたの日常をみんなに見せて、月に200ドルと、無料の“カスタムメイドの”Webカメラをもらえる。そのサービスLifeStreamは、ほとんどがNSFWだから、今クリックしない方がよい。
これを、パブリシティで海千山千の企業が放った巧妙なパブリシティだ、と思ってもよいが、実はLifeStreamは、ライブストリーミングの強力なユースケースのひとつだ。 受け入れのプロセスはかなり厳しいが、選ばれた人には自分の家に置く数台のカメラが配布され、毎月200ドルの報酬をもらえる。インターネットの通信料金は、CamSodaが負担する。言い換えると、自分の生活は人が見てもおもしろいはず、と確信できる人に、誰かがお金を払ってくれるのだ。
CamSodaの注意深い説明の仕方によると、彼らが求めているのは、ありのままのライブストリーミングで、それはたまたまセクシャルであったり、なかったりする…そして結果的に同社のサービスは、FacebookやInstagram、SnapChatなどとガチで競合する。Facebookなどの名を挙げるのも、パブリシティの一環だろう。Facebookなどにもときどき、画質の悪い、見るに耐えないライブビデオが登場し、ときにはそれがニュースねたにもなるが、CamSodaはそれをあえて商用化して、ライブストリーミングというものを、セックスに依存せずにおもしろいものにしようとしている。
たしかに、セックス以外にもおもしろいライブストリーミングはある。パロアルトでシェアハウスしているプログラマーたちが、La Croix炭酸水の代金を稼ぐために、自分たちの男ばっかりのパーティーをライブストリーミングしている。あるバンドは、練習場兼彼らの住居である家を、ライブストリーミングしている。アンディ・ウォーホルの有名な言葉を借りれば、“未来には誰もが有名人になれる、飽きられるまでは”、だね。
このライブストリーミングに、VRを加える計画もある。CamSodaのプレスリリースは、こう言っている:
ここで強力な武器になるのは、(またまた)ポルノだろう。VRは良いアイデアだ。
でもインターネット上では今後ますます、ユーザーが作ったコンテンツによる収益化が難しくなるだろう。TwitterやFacebookは今のところ安全地帯にいるが、未来のネットワークはますます細分化されたオーディエンスにブロードキャストせざるを得なくなり、ギャラを払わなければならないタレントや有名人でビューを稼ぐ安易なやり方は、ますます空振りに近づくだろう。そうやってユーザー生成コンテンツ(user-generated content, UGC)が破綻したら、生き残るのはどんな企業だろうか。
結局これは、人がセックスしているところを見るサービスに帰結するのかもしれない。でもメディアの社会的構造が大きく変わろうとしている今および今後、あなたや、あなたの乱雑なベッド、あなたのだらしないゴールデンレトリーバーのビデオが、ライブストリーミングの人気を盛り上げ、ハリウッドを斜陽に追い込むかもしれない。それは、実際にありえることだ。