いいね!1回で1円もらえるSNS「Poplle」が公開

Twitterにしろ、Facebookにしろ、Instagramにしろ、ユーザーが何らかのコンテンツを投稿して楽しむSNSの多くには、お互いの投稿内容に対して「いいね!」とリアクションできる機能が搭載されている。通常このいいね!は金銭的な価値を伴うものではないが、もし「いいね!でお金がもらえるSNS」があったらどうだろうか。

本日2月26日にローンチされた「Poplle(ポップル)」はまさにそのような思想から生まれたサービスだ。

少なとくも現時点におけるPoplleの機能はかなりシンプル。写真や動画といったコンテンツを投稿できるほか、フォローをすることで他のユーザーのコンテンツをタイムライン上で楽しめる。少し言い方は良くないかもしれないけれど、ごく普通のSNSだ。

そんなPoplleのウリは、いいね!を通じてお金がもらえること。具体的には1いいね!= 1円換算で、500いいね!(500円)が貯まると振込申請をしてお金を引き出せる。

他ユーザーからもらったいいね!はもちろん、自分が送ったいいね!も対象。リリース時点では1日に自分からできるいいね!の上限は5回までで、自身の投稿に押すことはできないという。

またアカウント作成時にSMS認証が、振込申請時に身分証明がそれぞれ必要になるため「1人で複数のアカウントを作り、相互にいいね!をし合って荒稼ぎする」こともできない。投稿できるコンテンツ数も1日30件までとなる。

Poplleを開発したのは、“検索不要”のサロン予約アプリ「requpo(リクポ)」や自撮りが売れるSNS「selmee(セルミー)」を手がけるリクポ。同社代表取締役CEOの木崎智之氏によると「多くの人が結構な時間をSNSに割いている。それならSNSをやるだけで少しでもお金を稼げて、(そこで稼いだお金を)他のことに使えると楽しいのではないか」という考えが根本にあるようだ。

2018年11月にリリースしたselmeeは「自撮り」にフォーカスを当てることで、その考えを実現しようとしたサービス。1ヶ月目の流通総額は数十万円に及ぶなど一定数のユーザーに利用されたものの、課題も見つかった。

「特にある程度の影響力のあるユーザーが投稿すると、確かに買われる。ただヒアリングをすると『買ってくれる人の負担が大きくなる』『投稿しすぎるとお金が欲しいだけとの見え方が強くなる』といった理由で投稿数をセーブするように気をつけているという声が多かった。そもそも自撮り以外のコンテンツについてはバンしないといけないこともあり、自撮りを売る以外の方法で、かつ誰もお金を減らさずにすむ仕組みを作りたいと考えた」(木崎氏)

selmeeでは一部肌の露出の多い写真や動画が投稿され、運営側のチェックにより非表示にしていたものもあったそう。それも踏まえてPoplleでは投稿時の自動画像認識の技術を取り入れ「エログロ等の不適切なコンテンツは自動で認識して投稿されない仕組み」を作った。

ちなみにいいね!をもらった人だけでなく、送った側もお金をもらえる同サービス。どうやって収益を上げるのかが気になるが、マネタイズの手段は広告とのこと。ただし一般的なSNSの広告に加えて、Poplleだからこそできるオリジナルの広告モデルを検討しているそう。こちらについては特許も出願中だという。

正直、僕はPoplleがどのくらいのユーザーに使われるのか、予想がつかない。今までもたくさんのSNSが登場してきたが、実際にそれなりの数のユーザーに日々使われているサービスはほんの一部だ。いいね!でお金をもらえることが使われ続ける理由になるのか、疑わしい部分もある(もちろんもらえる金額にもよるのだろうけれど)。

ただ、今世に広がっているプロダクトだって、必ずしもローンチ当初から多くの人の共感を得られていたわけではない。「お金をもらえるSNSと、そうでないSNS。せっかくならお金をもらえる方を使おう」と思う人も一定数いるのかもしれない。

この辺りは木崎氏自身も「確証はないので、(機能面や細かい仕様を含め)ユーザーの反応を見ながらブラッシュアップしていきたい」とのこと。「フックとして『いいね!でお金がもらえる』機能を訴求しつつも、仮にお金がもらえなくても使ってもらえるくらいのUXを提供していきたい」という。

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TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。