[筆者: Eliza Brooke]
KraamsというiPadアプリは、いつもお客さんと面談でセールストークをしなければならない営業の人にとって、便利なツールだ。今日ローンチしたこのアプリのキモは、目の前のお客さん(~見込み客)にプレゼンをやっているときに、その途中で、いろんな話の転変に合わせてプレゼンのストーリーを自由自在に変えられることだ。しかも、途中でプレゼンの方向性を完全に変えてしまうこともできるから、Aが売れなきゃBという多面的なスタイルの営業も可能だ。
ポーランドで広告業界に長年いた人たちが2年前に作ったこのアプリは、顧客の信頼を勝ち取るには相手に合わせたピッチ(pitch, 売り込みトーク)しかない、という信念に基づいている。このアプリでは、製品などの写真や画像を収めたカードが複数枚あり、それを現場の営業はお客さんの反応を敏感に感じ取りながら、各瞬間にもっとも適切なカードを見せていく。関連カードのグループ化もできる。前に見せたカードをスワイプしながらその下の新しいカードを「ではこんなのもございますが」と見せていくこともできる(順序の決まっているプレゼンではそれは不可能)。いろんな反応を示し、いろんな意見を言うお客さんの数が、それほど多くないときには、このアプリの最大の特長である“即席対応型の提示”が効果的に使える。
PowerPointやKeynoteも一応はKraamsの競合製品だが、このような個別顧客対応のできるセールスアプリShowpadやStoryDeskが、むしろ近い敵だ。協同ファウンダのAdam Smilowskiによると、でもほかの製品は大企業向けで、営業過程の全体をカバーするが、より簡便なKraamsは中小企業や個人企業に向いている。
同社はまだ自己資金だけだが、ビジネスモデルはフリーミアムだ。無料バージョンでは、ワンセットのカード集を1インスタンスのKraamsの上で使えるだけだ。カードの枚数にも制限がある。優良版では、それらの制限がなく、また営業チームがカードのライブラリを共有することができる。だから、小企業だけでなく、大企業でも十分に利用できる。
Smilowskiは、こういうフリーカード方式をeコマースのプラットホームにすることも考えている。各カードに製品の写真や説明、ショップのリンクなどがあれば、消費者は複数のサイトを訪ねて買いまわりをしなくてもすむ。消費者はお気に入りのショップに会員登録しておくだけで、あとはいろんな新商品のカードが随時送られてくる。
ネットショッピングを、今のような個々の“店主体”のあり方から、各消費者の関心や欲求主体にがらっと180度変えていく。Kraamsはこのeコマース大革命の契機になるはずだ、と彼は言う。
でっかい構想だが、Kraamsは営業ツールで既存製品に勝つことが第一の関門だ。eコマースの大革命は、その次の段階だろう。まず、世界中の営業マンに気に入られることを、目指してもらいたい。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))