このところエンタープライズ開拓に本気のAppleがCiscoのネットワーキング技術を本格的に統合

shutterstock_217604671

今日(米国時間6/13)の2時間あまりにおよぶApple WWDCのキーノートの中で、比較的目立たなかたのが、近くリリースされるiOS 10におけるAppleとCiscoの統合だ。そう、あの、Ciscoであります。

Appleのエンタープライズ方面のパートナーシップというと、ほとんどIBMばかりが騒がれる。そしていちばん最近では、SAPとのパートナーシップの発表が目を引いた。しかし昨年8月には、AppleとCiscoが合意を発表している

Appleはこれまで、Ciscoの技術者やインタフェイスの設計者たちと協働して、CiscoのソフトウェアおよびネットワークとiOSデバイスの緊密な統合に努めてきた。そして今日は、CiscoのクラウドコラボレーションプラットホームCisco Sparkと、そのほかの高度なネットワーキング提携事業が発表された。

今年後半にお目見えするiOSとの統合によりSparkのVoIP機能がiPhoneの中核的な機能になり、ユーザーに多様なアクセス(コンタクト(通常連絡先)、最近の通信相手、お気に入り、など)を与える。ユーザーはロック画面から直接、入呼に応じることができ、アドレス帳のコンタクトの呼び出しをSiriに命ずることもできる。後者は、今日発表されたSiriへのサードパーティアクセスによる実装だ。

またこのパートナーシップによりiOSデバイスは、最速のCiscoワイヤレスネットワークを見つけることができ、ユーザーは“最良”かつ“最速”の接続を利用できる。Ciscoのブログ記事によると、これにより企業のIT部門は重要なアプリケーションにCiscoワイヤレスネットワーク上の優先権を与えるなど、私企業的な帯域幅調整(internet throttling)を実現できる。

もちろん、まったく、あるいはほとんど、CiscoのユーザーではないApple/iOSの顧客企業も多いが、しかしSparkとの統合(VoIP)は、それとは関係なく有効だ。

これら、Appleのエンタープライズ関連パートナーシップは、いわゆるウィンウィンの関係だ。ベンダ企業はAppleの優れたデザインセンスにアクセスでき、Appleはパートナーたちのエンタープライズ能力に乗っかって企業向け売上を伸ばせる。これまでのAppleは、消費者には強かったが、エンタープライズ方面はいまいちだった。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。