まるでStar Trekに出てきそうだが、バンドエイドよりも薄いフィルムを腕に貼ると、数秒後にそれは、心拍や血糖値などなどに反応してライトアップする。そして数日後には、はがれる。それが、東京大学の研究者たちの目標だ。彼らが発明したのは極薄の“Eスキン”(電子皮膚)で、それが可撓性の電子回路を保護して、皮膚上のディスプレイのようなものを可能にする。
もちろん、皮膚に貼り付ける電子回路は前にもあったし、伝導性のインクで描くやつもあった。しかし回路基板の厚さが1ミリもあれば、可撓性に限界がある。Takao Someya(染谷隆夫)とTomoyuki Yokota(横田知之)が率いるこの研究は、その厚さを大幅に減らす。
このEスキンは、スマート(電脳)なプラスチックラップじゃないか、と冷たく言われるかもしれない。シリコンオキシニトライド(Silicon Oxynitrite)とパリレン(Parylene)の層が極薄の基板を包み、その上に同じく薄くて可撓性のOLEDディスプレイと感光性ダイオード
を載せる。これが皮膚面に広がり、皺にも沿うが、密封性が良いので数日は保(も)つ。それまでの厚いデバイスは、数時間しか保たなかった。
上図のディスプレイは、概念実証である。まだ電源は体温や可撓性電池ではなくて、電極を要する。そしてもちろん、まだ何も読むことはできない。
ペーパーの付録のニュースリリースでSomeyaは、“ディスプレイを体に付着できて、人間の感情や、ストレスと不安の程度を表せたら、どんな世界になるだろうか?”、と問うている。ペーパーは金曜日(米国時間4/15)にScience Advancesに載った。
気持ち悪い、と思う人も多いかもしれない。でも、医療や消費者製品の分野には、本格的な応用製品がいくらでもありえる。研究は、われわれをそこに連れて行くことを、目指している。