ロボットが、ワイン評論家のすてきな仕事を奪うかもしれない。デンマークの研究者グループは、高価なワインが安物より本当においしいかどうかを確かめるために、人工の舌を作った。
最初にACS Nanoで発表されたこの研究は、表面プラズモン共鳴(SPR)に基づく光学ナノセンサーを使って、ワインの辛さによる感覚を人がどう体験しているかを認識できると主張している。そして、このナノセンサーは、タンニンが味覚を刺激する程度を、最高のワイン評論家以上に判定できると言う。
ひとすすりする価値があるかどうかを決めるのは人間であってロボットではない、と異議を唱える向きもあろう。しかし、アーハウス大学の研究者らは、ナノセンサーには人間評論家のような個人的先入感がないと指摘する。それは当たっているかもしれない。ワインテイスティングの方法には様々な要素がある。ブドウの種類から、土壌のミネラル、ブドウがどんな太陽光を受けたかに至るまで、あらゆるものが、シーズン毎のワインの味と香りに化学的影響を与える ― 同じブドウでさえも。
MarketWatchによると、毎年750 mlボトル314億本分のワインが世界で流通している。ワインには、ある種の標準評価がつけられているものもあり、ワインパーソナリティーやそのお薦めの熱烈なファンもいるが、誰もがそれぞれ異なるテイストを持っている。このため、近所の食料品店でワインを選ぶことは非常に難しい。
このワインは皮表紙の本とマホガニーの香りがする、と言う代わりに、ナノセンサーは、そのワインにどれほど収斂性があるかだけを教えてくれる。そのために、口の中の分子を測定する。
「その感覚は、ワインの有機物と口内のタンパク質の小さな分子間の相互作用によって生まれる。この相互作用によってタンパク質の構造が変わり凝集が起きる。これまでは、プロセスのかなり遅い時期に起きる凝集に焦点が当てられていた。
このセンサーを使って、われわれはタンパク質が結合と構造の変化、即ちプロセスの初期段階を模倣する方式を開発した。これはより感度の高い方法であり、収斂効果をより正確に再現できる」とJoana Guerreiroは言う。
研究者らは、この技法自体は新しいものではなく、これを使って分子の数だけでなく、効果を測定できるセンサーを開発した点が新しいのだと指摘する。そして、この技法を適用できるのはワインだけではない。
アーハウス大学は公式ウェブサイトで、この機器を支えている科学は、標的薬を開発するために分子レベルで適用することもできると書いている。「このセンサーは診断目的にも利用できる。病気の発見、さらには予防にも役立つ可能性がある」と同研究の主任研究員、Duncan Sutherlandは語った。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)