この海洋動物用ウェアラブルは、邪魔することなく生態を追跡できる

海洋動物の追跡が困難である理由はいくつもあるが、どんな装置にせよ水中の過酷な環境で数週間耐える頑強さが必要であることは中でも大きな課題だ。現在クジラなどの動物の観察に使われている無骨な装置は、まもなく、より軽量なライバルに取って代わられるかもしれない。この柔軟で低価格な Marine Skinだ

サウジアラビアのアブドラ国王科学技術大学の研究者らが開発した超軽量センサープラットフォームは、既存のテクノロジーを着用するのは動物にとって快適ではない、という単純な心配から生まれた。Muhammad Mustafa Hussain率いるプロジェクトはRed Sea Research Instituteの協力を得て進められている。

Marine Skinは材料に柔軟なシリコン基質を使って、一定の水深でもねじれや回転、高圧に耐えられるように設計されている。装置は海水の塩分濃度や温度、水深などを追跡し、動物自身の好む場所や、動物が泳いだりはい回ったりする場所の水の状態を監視することができる。

電源には腕時計用のバッテリーを使用し、研究チームによると最適化すれば最大1年間持続する。ただし、遠距離から情報を送信する必要があれば条件は変わる。現在情報送信の方法はBluetoothのみで、送信可能距離が9メートルというのは巨大な海で使うにはあまり実用的とはいえない。しかし、それに対処する方法はある。

1基12ドル以下という価格は非常に安価である。量産すればさらに安くなる可能性もあり、目立たないデザインなので、クジラのように厳選された高価値な追跡対象だけでなく、大量の小動物に付けることもできる。

現在はまだプロトタイプ段階だが、研究チームは外部の協力を得て装置をテストし、進捗状況をFlexible Electronics誌で発表した。IEEE Spectrumに追加の詳細情報と写真が掲載されている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。