Googleは「ソーシャル」が不得手だ。あれほどのリソースがあるにかかわらずGoogle+はいっこうに離陸できなかった。しかし Googleにとって幸運なことに、あの4Chanのファウンダーをスカウトすることに成功したようだ。4Chanはインターネットにおける人間性の善、悪、醜を遺憾なくわれわれに見せつけてくれた。
ハンドル名MootことChris Pooleが自宅の寝室で4Chanを始めたのはわずか15歳のときだった。その12年後、Pooleはアクティブ・ユーザー2000万人の一大画像共有ネットワークを築いた。テーマはコスプレやかわいい動物の写真といった無害なものからアニメ・ポルノ、さらには悪名高い無検閲の/b/チャンネルまだなんでもありだ。
しかしPooleは他のプロジェクトで資金を使い果たし、昨年4Chanのトップから退き、ついで売却せざるを得ないことになった。結果的にこれでPooleはテクノロジー界でもっとも優秀なフリーエージェントとなった。
GoogleはまさかPooleにネクタイとスーツを着せたりしようとしないだろうが、今後Pooleは巨大企業の一員として働くことになるようだ。PooleはGoogleの副社長でストリーミング、共有、写真事業部の責任者、Bradley Horowitzに付く。
Pooleは Googleがスタート時から持っているナード文化に魅力を感じたらしい。
われわれは繰り返しPooleに「Googleでどういう仕事をするのか?」という質問を送っているがまだ返事がない。しかしする仕事はいくらでもあるはずだ。
繰り返し失敗を重ねた後で、無料の巨大な保存容量と強力な検索を組み合わせたGoogle Photosは同社としてソーシャル・サービス分野で最初の成功となった。Pooleなら写真共有サービスをさらに面白くし、サービスをベースとした本当の意味でのコミュニティーを築く方法をGoogleに教えることができるだろう。Googleは大学生向けのソーシャル・アプリ、Who’s Downなどを実験しているが、Pooleならたび重なるリークで最近活気が薄れてきた匿名サービスを再活性化できるかもしれない。
ソーシャルなサービスを手掛ける人間は無数にいる。しかし本人に何度もインタビューした経験から言うのだが、Pooleは人がなぜソーシャル・メディアに引き寄せられるのかということを本当に理解している数少ない人間の一人だ。アルゴリズムならふんだんに持つGoogleだが、ソーシャル・メディアを成功させるために欠けていたのが、この人間に対する理解だと思う。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)