シングルボードコンピュータの価格競争ではなんといってもRaspberry Piファウンデーションがトップを走っている。そのRaspberry Piがファミリー向けマイクロプロセッサーのシリーズに有力な新製品を発表した。Pi Zeroは価格が5ドルだ。外国からの購入者にはプレミアムが上乗せされるのは間違いない。それにしても機能完備したコンピューターの価格が5ドルなのだから驚く。
ではこのPi Zeroのターゲットはどういう層だろう? ロボットやモジュール式のガジェットなどコンピューターを利用するさまざまな製品のメーカーはまず最初に行列に並んだ方がよい。しかし5ドルなら一般ユーザーが衝動買いしても大丈夫だ。実際、Pi Zeroはファウンデーションが発行しているMagPiという雑誌の表紙にオマケとして無料でついてくる。
Raspberry PiでZeroの次に安いモデルはModel A+で、こちらは20ドルだ。Raspberry Piには最近ライバル(クローン?)が現れてOrange Piを15ドルで売っている。いずれにせよ低価格コンピューターはますますわれわれの手が届きやすい価格になっていく。
ではこの5ドルのPiで何ができるのか見てみよう。 ハードウェアだが、コアは1GHzのチップだ。実はオリジナルRaspberry Piに使われていたのと同じものだ。ただしクロックがわずかに速められ、それに応じて能力も若干アップしている。ボードにはこれに加えて512MBのRAM、micro-SDカード・スロット、mini-HDMI端子、micro-USBポートx2が装備される。〔詳細スペックは原文参照〕
このボードに載っていないものは、と眺めてみると、まずEthernetとWi-Fi接続機能だ。こういうパーツを用意するのは5ドルでは無理なのだろう。Wi-Fiが欲しければmicro-USBポートにドングル形式でパーツを接続することになる。
ボード自体のサイズは65mm x 30mm x 5mmときわめてコンパクトだ。接続パーツはボードの一方の側に手際よく並べられている。使い勝手もよさそうだが、コスト削減にも役立っているのだろう。なんといってもRaspberry Piはこの数年で500万台以上も製造されている。ただしPiファウンデーションは非営利団体だ。
ファウンデーションは子供向けのプログラミングの課外講習を行う組織、Code Clubと最近、合併した。「世界のあらゆるコミュニティー」にプログラミング教室を拡大するのが使命だという。今月初めにチームを取材したときにこの話を聞いたが、そのときはあまりにも野心的な目標ではないかと驚いた。しかし5ドルのコンピューターが発売されたのを見ると、この目標も実現性は高いのかもしれない。
私はこのときRaspberry Piファウンデーションの共同ファウンダー、Eben Uptonと話した。Pi Zeroが普及しそうかどうか尋ねると、Uptonは「Pi ZeroにはTV向け〔HDMI〕出力が装備されている。これは特に途上国で古いデジタルTVを手に入れてコンピューターを作ろうとするユーザーにたいへん便利だ」と述べて自信を見せた。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)