とにかくロードが早いHTML5ゲームを初披露、Blackstormが目指すアプリ開発の未来

img_9293

友人と楽しむアプリやゲームのローンチに数秒もかからない未来をErnestine Fuは思い描いている。数秒ですら長いくらいだ。

この構想の下、Blackstormは誕生した。Blackstormは素早く起動するアプリを制作するツールを備えた開発プラットフォームだ。App Storeで入手できるアプリと同じようなアプリを制作できる。BlackstormのアプリはHTML5で駆動し、メッセンジャーアプリやブラウザといった異なる環境でも利用することができる。今月にはゲームスタジオを新設し、このテクノロジーを使って初のゲームタイトルをいくつかFacebookのインスタントゲーム向けにローンチした。

このようなプラットフォーム、そしてBlackstormがローンチするゲームの特徴は、「瞬時に」ゲームがロードすることだ。Facebookの「インスタントゲーム」の名称が示している機能だ。BlackstormはHTML5のテクノロジーを最大限活用する一連のカスタムツールを構築し、ゲームの全アセットと要素の早いロードを実現する。少ないデータ量でも、従来のアプリにあるパーティクル・エフェクトや画面上で個別に動くスプライトを多く置くことを可能にしている。

「最大の点は、いかに迅速な開発を可能にし、今利用できるテクノロジーの限界に挑戦できるかです」とBlackstorm共同ファウンダーのFuは話す。「実際に何を制作できるか、何を表示できるかの限界に挑戦しています。Facebookのプラットフォーム、特に今回ローンチするゲームについては、ユーザーがゲームの開始ボタンをタッチした瞬間に動かなければなりません。人々が慣れ親しんだアプリストアの体験とは違います。基本的に、ゲームのすべてが5MB以内に収まっている必要があります」。

今日ローンチするゲームは2種類だ。1つはEverWingで、これは妖精のグループを操作してモンスターと戦う内容だ。昔ながらの宇宙空間で戦うゲームにファンタジー要素を加えたような見た目だが、メインのゲーム以外にも物語は広がっている。

2つ目はPuzzle Bobble Blitzだ。「Bobble(ボブル)」の部分でピンとくる人もいるかもしれない。Blackstormはタイトーのブランドと協力し、バブルが弾けるパズルゲームを開発している。定番ゲーム「バブルボブル」の派生版で、ここ10年で広まったモバイル端末のゲームスタイルを加えている。

「誰もがこのタイプのゲームで遊んだ経験があると思います」とFuは言う。「これはとても洗練したバージョンで、これからはFacebookで友人と遊ぶことができます。私たちはそのことにとてもワクワクしています。多くの人がこのゲームに親しみを持つでしょう」。

puzzle bobble blitz

競争的な要素は随時更新されるリーダーボードシステムにある。メッセンジャーのスレッドで友人とゲームをしている場合、常に最新のリーダーボードにアクセスすることができる。Blackstormには、さらに大きなグループの「Blackstorm Battle Group」がある。ここではそれぞれの高得点を閲覧することができ、競争心に火を付ける仕掛けだ。

もちろん、Facebookのインスタントゲームの開発は彼らにとって始まりにすぎない。Facebook Messengerやニュースフィードを介して何十億人の前にゲームを展開できたとしてもだ。Blackstormの目標はゲームや他のアプリ開発を裏で支えるテクノロジーを提供することだ。Facebookのインスタントゲームのように、異なる環境下でもアプリが瞬時にロードすることが求められる場合に対応している。

Blackstormが手がけるゲームは同社が発明し、構築している内部の開発環境で制作している。Xcodeに似ているとFuは話す。数週間から1ヶ月以内にはIDEと開発者向けツールを外部にも提供する予定だという。Blackstormは今年、3350万ドルの資金調達を実施したことを発表している。BlackstormのアドバイザーにはアメリカのSegaでチーフを務めるTom Kalinske(ソニック・ザ・ヘッジホッグに感謝!)、Zyngaの共同ファウンダー Justin WaldronとPlaydomのCEOであるJohn Pleasantsが含まれている。

このプラットフォームに開発者を引き込むのも課題だ。App Storeはゲームを始めアプリの最大の配信手段となっている。開発者をそこから剥がして、新しい開発環境とプラットフォームに移行してもらうハードルは高い。App Store経由でゲームを入手したユーザーに対して開発者は、クロスプラットフォームで他のゲームを宣伝することもできる。

しかしApp Storeが開発者にもたらす機会は、非効率で、時に数百メガバイトに及ぶゲームを最初にダウンロードするような労力をユーザーに強いているからだ。だが、App Storeのおかげでユーザーが多く集まるメッセージプラットフォームや他の代替サービスも誕生した。AppleはApp Storeでの体験をよりシームレスにしようと取り組んでいる。彼らは、ユーザーが何回も戻ってきたくなる方法を見つけだすかもしれない。しかし、少なくともBlackstormのような会社がApp Storeの時代以降の開発環境を作ろうと考える余地も残しているようだ。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。