モバイルゲームなど複数のエンターテイメント事業を展開するアカツキは2月1日、2017年10月に設立した「Akatsuki Entertainment Technology Fund」の出資先を公開した。
同ファンドは国内外のARやVR、MRを中心とした「テクノロジー×エンタメ」領域のスタートアップに対し、シード〜シリーズAのラウンドで1社あたり1000万円〜1億円の出資をするというもの。映画やゲームだけでなく、広い範囲でエンタメの要素がある事業は出資の対象となる。
これまで日本企業2社を含めた計8社へ出資。今回そのうち6社については企業名も公表している。
- ALE (日本) : 人工流れ星事業ほか宇宙関連エンターテイメント事業、衛星事業
- Fable Studio(米国): AR・VR上でのAIキャラクターエンジンの開発
- HypeVR(米国): 奥行きのある360度画像の撮影・VR化、データ圧縮技術開発
- Super Media Future(米国): リアルタイムモーションキャプチャ技術を使用し、AR上でアバターを表示されるアプリを開発
- RosieReality(スイス): 子ども向けロボティクス学習ARアプリ開発
- ティフォン(日本) : ロケーションベースのMRアトラクションの開発・運営
日本の2社についてはすでに知っているという人も多いかもしれない。ALEはゴールドマン・サックス出身の岡島礼奈氏が創業した、「宇宙×エンタメ」領域のスタートアップ。プロダクトはもちろん、2016年にエンジェルラウンドで7億円を調達したことでも話題となった。
ティフォンは以前TechCrunchでも紹介している。詳細についてはそちらを参照してもらえればと思うが、都内で体験できる「MRお化け屋敷」を運営。同社はディズニーからも出資を受けている。
アカツキではモバイルゲームの開発を手がける一方で、ライブエクスペリエンス事業としてリアルなコンテンツ作りにも取り組んできた(「Wowful」「そとあそび」などのプラットフォームに加えて、アカツキライブエンターテインメントを通じてコンテンツも提供)。
アカツキ取締役CFOでファンドのメインディレクターを務める小川智也氏の話では「事業として一緒に何かやれそうか」が出資の基準のひとつとなっているそう。具体的な動きはこれからだというが、今後各社とは協業を進めていきたいという。
「ティフォンとはたとえばリアルなコンテンツの共同開発、またはその体験を広げていくプラットフォームの提供などが考えられる。ALEについてはこれから『コト消費』が伸びると考えて出資した。(アカツキでは)自社でイベントのプロデュースなどもやっていて、その面で協業できる可能性もある」(小川氏)
VR向けヘッドマウントディスプレイで知られるOculusで昨年閉鎖された、オリジナルVRコンテンツ制作部門「Oculus Story Studio」の元メンバーが創業したFable Studio、チューリッヒ工科大学のプロジェクトがスピンアウトする形で設立されたRosieRealityにも出資。米国にも拠点を開設することで、海外のユニークな企業ともつながりができているという。
「エンタメ領域では事業会社ならではのバリューも出せる。日米に拠点を持つエンタメ×テクノロジーに特化したファンドとしてユニークなポジションを狙えると思っているので、今後も積極的に動いていきたい」(小川氏)