アクセシビリティを重視したオープンソースの新デザインシステムをOktaがローンチ

アイデンティティとアクセス管理サービスを提供するOkta(オクタ)は米国時間2月4日、新しいデザインシステムをローンチした。これは社内と自社ブランドで使用するためのシステムだが、Apache 2.0ライセンスの下でオープンソース化されている。同社がOdyssey Design Systemと呼ぶこのシステムは、Google(グーグル)のマテリアルデザインやMicrosoft(マイクロソフト)のフルーエント・デザインなどと同類のものだ。機能の数ではおよばないものの、アクセシビリティを重視している点で市場では際立っている。このデザインシステムのあらゆる要素が、W3CのWeb Content Accessibility Guidelines(ウェブコンテンツ・アクセシビリティー・ガイドライン)に準拠している。

Oktaのデザイン担当上級副社長Brian Hansen(ブライアン・ハンセン)氏は、これまで同社には統一されたデザインシステムがなかったと私に話してくれた。だがその代わりに「栄光のパターンライブラリー」がある。エンジニアたちは新しいUIがすばやく作れるためとても気に入っていたのだが、新しいパターンの追加が難しかった。「そのため、できることに制限があったのです」とハンセン氏。「そのため最後には、特にデザイナーですが、丸い穴に四角いものを無理矢理入れ込むような妥協を強いられることもあります」。

画像クレジット:Okta

すでにOktaは若いスタートアップの段階から脱却しているが、今こそ社内用に機能を完備したデザインシステムを原点に戻って構築するときだと彼らは考えた。それはまもなく、ほとんどのユーザーが目にするOktaのサインインウィジェットに現れるはずだ。さらに注目すべきは、Oktaのプラットフォームが、ほとんどのユーザーは決して見ることがなかった管理者用のバックエンドツールを大量に公開したことだ。管理者たちは、情報の濃いユーザーエクスペリエンスと、仕事がよりはかどるデザインを求めるものだ。Oktaのサードユーザーは開発者であることを、ハンセン氏は強調する。開発者が最も気にかけるのは、細部の技術的なできもさることながら、説明資料だ。それは(あくまでデザイナーにとって)読みやすいものでなければならない。

ハンセン氏も認めているが、すべてのインターフェイスを一気にOdysseyに切り替えるのは現実的ではない。「デザイナーとしては、すべてを完ぺきに揃えてほしいと思います。しかし同時に現実的な態度として、完ぺきでないものと共存していく必要もあります」と彼は話す。そのため、Oktaブランドでは現在その更新を進めている最中であり、一部のユーザー向けインターフェイスも移行中だが、すべてのOktaサービスが移行を終えるまでには時間がかかる。

たとえば管理者用のコンソールに関しては、ハンセン氏のチームはUIの移行を数年かけて行うことに決めた。そこで中継戦略を立て、Odesseyの基本デザインを真似たスタイルシートを制作した。「そこから、私たちはOdysseyネイティブのコンポーネントへの切り替えが可能になり、徐々に組み込んでいけるようになります。アプリの切り貼りはできません。2つの異なるUIを共存させることもできません。それをすれば信頼を失うと私は考えています。そんなことで満足してくれる人はいません」とハンセン氏は語る。

開発者は、自身のプロジェクトでOdysseyを試すことができる。また提供されているさまざまなコンポーネントを見ることもできる。デザイナーはFigmaでの試用が可能だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Oktaデザインアクセシビリティオープンソース

画像クレジット:Okta

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:金井哲夫)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。