デバイス自体が「誰の声」なのかを聞き分けてユーザー認証する技術の特許をアップルが取得したと明らかになりました。
米国特許商標庁(USPTO)の発表によると、2016年にアップルが申請した「音声認証を使用したデバイスアクセス」が、今月16日に承認されたとのこと。歴代のiPhoneやiPadには「顔」や「指紋」といった生体認証システムが採用されてきましたが、将来的には「声」が加わる可能性がありそうです。
本特許では、まず音声入力装置との複数回のやり取りから、ユーザーの「声紋」を登録するとされています。Touch IDでは指紋、Face IDでは顔を何回かシステムに認識させて登録しますが、それに近い手続きがあるのかもしれません。
生体認証に声紋を使うメリットは、特定のパスワードを必要とせず、普通の音声から話しかけているユーザーを特定することが理論的には可能という点です。つまり他人に聞こえるような公共の場で、秘密にすべきパスワードを話さなくてもロック解除ができるということ。
さらに声紋認証はロック解除だけでなく、Siriのような音声アシスタント機能での「個人データへのアクセス制限」についても有効とされています。本来のユーザーの声だと認証された場合のみにアクセスを許し、他の人が話しかけたときは個人データに関係ない、一般的な受け答えのみをしてくれるわけです。
特許では声による認証が失敗した場合も想定されており、他の生体認証やパスコードなどの認証を求める例が図解されています。
アップルは毎週、多くの特許を出願しており、承認されたとしても製品化されるとは限りません。とはいえ、今年8月にもアップルが「音声によりユーザーを識別し、誰が話しているかによってタスクを実行できる」という特許を出願していたことが報じられており、最近とみに「声」への関心が高まっていることが窺えます。
すでに声に反応するスマートスピーカーは人々の良きパートナーとなりつつありますが、スマートフォンにおいても、「顔」より暗い場所で認識しやすく、手元にデバイスがなくても距離を超えて届く「声」が、今後はより注目を集めていくのかもしれません。
Engadget 日本版からの転載。