Apple(アップル)は米国時間6月11日、新たにRacial Equity and Justice Initiative(人種間の公平と正義のためのイニシアチブ)の創出と、1億ドル(約106億8400万円)の拠出を発表した。
このイニシアチブを先導するのは、アップルの環境、政策、社会的イニシアチブ担当副社長のLisa Jackson(リサ・ジャクソン)氏だ。ジャクソン氏は、これまでのアップルでの在任期間中にも、同社のサプライチェーンの環境持続可能性を向上させるなど、数々の目覚ましい成果を上げてきた。
「私たちは人類の歴史の中の重要な分岐点に立っています。これまではあまりにも遅い動きだったものが、突如して飛躍的な前進を遂げる準備が整ったように感じられるような瞬間です」と、アップルのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏は、Twitterによる声明の中で語っている。「物事は変化する必要があります。アップルはその変化の原動力となることを誓います」。
クック氏によれば、アップルは1億ドルを出資して、教育、経済的平等、刑事司法の改革に取り組むこのイニシアチブを財政的に支えるという。まずは米国で始めて、世界的にも展開するつもりだ。
また同社は歴史的に、黒人のカレッジや大学、コミュニティカレッジ、科学、技術、工学、数学教育など、特に正当な扱いを受けてこなかったような、黒人を中心とするコミュニティに協力してきた経緯があるが、そうした既存の関係を大切にするつもりだとしている。
アップルが新たに築いた協力関係として、アラバマ州のモンゴメリーを拠点とするEqual Justice Initiativeとも協働するつもりだとクック氏は語った。このイニシアチブは、刑事司法の改革と人種による不公平の解消に取り組んでいるNPOだ。
同社はまたWWDCに先立ち、有望な起業家のために、デベロッパーと起業家のキャンプを開催するという。
最後にクック氏は、アップルは黒人がオーナーとなっているビジネスパートナーに対する支出を増やす努力をし、取引先のすべての企業に対する責任分担を増やすよう取り組むことを約束すると述べた。
クック氏によれば、アップルのイニシアチブは、代表として動くこと、多様性を受け入れること、説明責任を果たすことに注力するという。
その一環として、こうした変化に対する最終的な責任は、会社のリーダーシップが引き受けるとクック氏は言う。それによって、すでに不当な責任を負わされているような社員や協力会社に要求したり、仕事を押し付けたりすることのないようにするのだという。「変化に対する責任が、不公平に扱われている人々にかかるようなことがあってはなりません」とクック氏は強調した。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)