10年もの間、Apple(アップル)はインドでの製品販売をサードパーティの業者や店舗、マーケットプレイスに全面的に頼ってきた。それが今年、変わる。
米国時間2月26日に開かれた定時株主総会で、CEOのTim Cook(ティム・クック)氏は投資家に対し、アップルは年内のどこかで世界で2番目に大きいスマホマーケットであるインドでオンラインストアを開き、来年には初の直営店をオープンさせると話した。「私はインドの可能性をかなり信じている。無比の活気と人口を抱えた国だ」とクック氏は述べた。
TechCrunchは先月、アップルがオンラインストアを2020年第3四半期にオープンさせる計画で、実店舗の開設は年内はなさそうだと報じた。
米国のテック大企業にとっておそらく最後の大きな成長マーケットであるインドは、プレミアムなアイテムを販売するアップルやその他の企業にとって「難物」だった。
インドは成長を続けている大きなマーケットだが、多くの人々はアップル製品を買う経済的余裕がない。調査会社のCounterpointによると、実際、インドで出荷される大半のスマホの価格は150ドル(約1万7000円)以下だ。
また、アップルにとってはインド政府が電子機器に課している輸入税も問題だった。税分を価格に乗せるため、iPhoneはインドの人にとってより高価なものとなる。
iPhoneの価格を下げようと、同社はインドでさまざまなアピールを試みてきた。何年もの間、インド政府に税制上の優遇措置を求めてきたがその交渉は実を結ばず、同社はすべての中国のスマホメーカーがインドでしたことへと舵を切った。インドでのスマホ組み立てだ。
インド政府はインドで電子機器を組み立てる企業にいくつかのインセンティブを与えている。実現には2年かかったが、アップルの提携企業であるFoxconn(フォックスコン)とWistron(ウィストロン)は幅広いモデルのiPhoneをインドで組み立てている。これにより、最新ラインアップを除くより多くのモデルの価格が下がった。
こうした動きは同社にとって役立つものだったことが証明された。調査会社のCanalysの推測では、アップルは昨年12月までの四半期にインドで92万5000台近くのiPhoneを出荷した。この数字は前年同期比200%増で、同社にとってインドマーケットでの最高の年だったとCanalysは付け加えた。
CanalysのアナリストであるMadhumita Chaudhary(マデゥミタ・チョウドリィ)氏は、アップルはより攻勢をかけようと銀行と組んで顧客にさらなるインセンティブを提供している、と話した。これが功を奏して、アップルはAndroidスマホが99%を占めるインドのスマホ市場でシェアを伸ばした。
同社はまた、インドの視聴者に提供する映画やテレビ番組を増やすためにコンテンツスタジオとも協議してきた。これまで報道されていないことだが、例えば2年前に同社はEros Nowを3億ドル(約330億円)で買収する詰めの話し合いをしていた。アップル株の持分を増やすというオプション付きだった、とこの件を直接知る情報筋が数カ月前にTechCrunchに話した。
しかしこの買収案件は実現しなかった。
TechCrunchはまた、クック氏がオンラインストア開店でインドを訪問するかもしれないと先月報じた。この件についてアップルはコメントしなかった。
インドは昨年、単一ブランドを扱う外資系小売に対する規制を緩和した。これによりアップルのような企業が実在店舗を開店させる前にオンラインストアを開設することができるようになった。
画像クレジット:INDRANIL MUKHERJEE / AFP / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)