Apple(アップル)は米国時間3月8日、プロセッサー、高品質スピーカー、マイクアレイ、高品質カメラ、3つのUSB-Cポート、Thunderboltによる96W給電機能を詰め込んだ1599ドル(日本での価格は税込19万9800円)のディスプレイを発表した。そう、もちろんディスプレイもついている。
同社はこれまで、ディスプレイに関しては、発表しては一連のオプションを忘れるという、不思議で波瀾万丈な歴史を歩んできた。Apple Cinema DisplayとThunderbolt Displayはどちらも発表されたものの、非常に遅い更新サイクルと圧倒的なスペック、法外な価格でもってすぐに端に追いやられた。AppleのPro Display XDRは数年前に発売され、32インチのRetina 6K解像度と超高コントラストというとんでもないスペックを有していたが、標準のガラスバージョンで4999ドル(日本での価格は税込58万2780円)、反射を抑えるナノテクスチャガラスバージョンで5999ドル(同65万9780円)と目を疑う値段だ。
Apple Studio Displayは、まったく異なるユーザー向けのもので、1599ドルという価格も決して安いものではないが、実に重要なことを行っている。発表されたばかりのMac Studioと組み合わせることで、スクリーンとコンピュータを切り離すことができる。環境問題に熱心に取り組む企業にとって、これは願ってもないことだ。画面はまだ完璧な状態なのに、プロセッサが冬の糖蜜のように遅いという理由で筆者が手放した数々のiMacは、果てしないフラストレーションの源だった。Appleのエコシステムの中にいながら、スクリーンだけ、あるいはワークステーションの頭脳だけをアップグレードできるというのは、長い間待ち望まれていたことだ。
新ディスプレイは、発表内容を見る限りとても印象的だ。12メガピクセルの超広角カメラを搭載し、センターフレームに対応している。つまり、あなたがスティーブ・ジョブス氏のような基調講演をしながら歩き回るのを、このカメラは部屋の中で追いかけ回すことができる。これは、AppleがiPadに搭載しているカメラと同じものだ。3つのマイクアレイを内蔵し、これまで以上にクリアな音質を実現していて、フィルタリング技術を使って入れたくない音声を減らすこともできる。そして、これまで出荷した中で最高のスピーカーと同社が表現する、6つのスピーカーによるサウンドシステムを搭載している。チップがスクリーンに内蔵されていて、ディスプレイがマルチチャンネルのサラウンドサウンドを分割し、ステレオスピーカーのセットを接続した場合よりも没入感のある体験を生み出すことができる。また、Dolby Atmosによる音声や音楽の空間オーディオにも対応している。
ディスプレイには10Gps通信に対応する3つのUSB-Cポートが搭載されていて、ハードドライブや録画機器などの高速アクセサリーを取り付けることができる。また、96Wで給電できるThunderboltポートがあり、Appleのノートパソコン全機種をディスプレイから直接充電することが可能だ。
そして、そう、画面もついている。輝度600ニト、広色域の27インチ5K retinaディスプレイを搭載している。そのスペックは、現行モデルのiMacに搭載されているものと疑わしいほど似通っている。スクリーンは全アルミニウム製の躯体で、反射を抑えるNano-textureガラスもオプションで用意されている他、VESAマウントなど各種スタンドやマウントのオプションもある。
画像クレジット:Apple
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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Nariko Mizoguchi)