アップルはユニバーサル購入オプションをMacに広げ、App Storeを統合

Apple(アップル)は米国時間2月5日、macOS用アプリも含むクロスプラットフォームのアプリを、間もなく1つのユニバーサル購入のかたちで販売できるようにすると公式に発表し、アプリ開発者を驚かせた。消費者の側では、ユニバーサル購入オプションとは、ひとつのアプリを一度購入すれば、iPhone、iPad、Apple TV、Macなど、異なるデバイスでも使えるようになるというもの。開発者の側では、MacとiOSのアプリ、またはその他の組み合わせを同時に購入するよう顧客に促すことができる。さらに、顧客のアプリ内購入とサブスクリプションのプラットフォーム間での同期も容易になる。

同社によると、ユニバーサル購入は2020年3月から開始されるとのこと。この変更に備え、iOSとMacのApp Storeのカテゴリーを統一し、アプリをより探しやすくすると同社は話している。

アップルのApp Storeのカテゴリーは、滅多に更新されることがないため、それだけでも、ユニバーサルなアプリのバンドルを行わない業者も含め、開発者に衝撃を与える大転換となる。新しいカテゴリーにアプリを載せれば、アプリの数が多い既存のカテゴリーで競うよりも、トップアプリの上位にランキングされる可能性が高くなる。

iOSでは、開発者は2つの新しいカテゴリーにアプリを登録できる。「開発ツール」と「グラフィック&デザイン」だ。

Mac向けのApp Storeには、iOSにある「ブック」[フード/ドリンク」「雑誌/新聞」「ナビゲーション」「ショッピング」が新たに追加される。

さらに、MacのApp Storeにある「写真」と「ビデオ」のカテゴリーは、「写真/ビデオ」に統合されて、iOSのApp Storeとの同期性が高められる。また、MacのApp Storeでは、「子ども向け」は「ゲーム」のサブカテゴリーではなくなる。

アップルによれば、開発者は新しいアプリを、App Store Connectで1つのAppレコードを使って開発する方法と、既存のAppレコードにプラットフォームを追加して新しいユニバーサル購入オプションを利用する方法のいずれかが選べるという。この機能は、macOS Catalyst対応アプリではデフォルトで有効となるが、それ以外のアプリでも使用できる。

2月5日から、開発者は「Xcode 11.4 beta」アップデートリリースをダウンロードして開発作業を始められるが、このオプションが一般に利用可能になるのは3月にローンチされてからとなる。

誤解のないように言えば、一度の購入で複数のアプリを提供できるようになるのは、これが初めてではない。例えば、iPadやApple Watchのアプリも同時に付いてくるiPhoneアプリを買ったことがある人なら、すでにユニバーサル購入オプションを経験済みということだ。新しいのは、それと同じ機能をMac用アプリに初めて導入するという点だ。

もちろん、ユニバーサル購入はすべてのアプリに恩恵をもたらすわけではない。なので開発者は、ビジネス展開の方針に基づいて、その長所と短所を自分で見極めてバランスをとる必要がある。だがこのオプションは、これまでアップルが別々に提供していたアプリのエコシステムを統一し、今後のMac用アプリの開発に拍車をかけるという点で大きな前進となる。

ベータ版Xcodeは2月5日、macOSとiOSのベータ版とともに公開された。これらを組み合わせることで、Macでのスクリーンタイムの通信制限、Mac用のヘッドポインター技術、絵文字ステッカー、CarPlayの更新とiCloudのフォルダ共有といった新機能が利用可能になる。

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(翻訳:金井哲夫)