米国時間12月12日、Adobe(アドビ)は第4四半期の収支報告書を公開した。結果は極めて良好だった。この第4四半期の収益はあと少しで30億ドルという29億9000万ドル(約3270億円)だったが、2019会計年度の収益は110億ドル(約1兆2000億円)を超え、これまでの最高額を記録した。
「2019会計年度は、収益が11億ドルを突破するという、アドビにとって驚きの年であり、輝かしい歴史を刻みました。2019年のこの記録的な収益と1株あたりの利益によって、アドビは世界で最も大きく、もっとも多角的な高収益ソフトウェア企業に仲間入りしました。2019会計年度のアドビの総収益は111億7000万ドル(約1兆2200億円)となり、これは24パーセントの年間成長率を示しています」と、アドビのCEO、Shantanu Narayen(シャンタヌ・ナラヤン)氏は同社の収支報告会の後、アナリストや報道陣に語った。
今年、アドビは重要なM&Aをいくつか実行している。それには、5月の17億ドル(約1860億円)でのMagento(マジェント)、9月の45億7000万ドル(約5000億円)でのMarketo(マルケト)の買収が含まれる。
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これら2つの重要な企業の買収が、今年度の数字をここまで押し上げたのは明らかだ。それは、CFOのJohn Murphy(ジョン・マーフィー)氏も収支報告会で認めていた。
第4四半期の注目すべきハイライトには、Adobe Experience Manager(アドビ・エクスペリエンス・マネージャー)がもたらしたコンテント・アンド・コマースソリューションと、Magentoのクロスセルとアップセルの成功、私たちのデータ・アンド・インサイツソリューションに含まれるAdobe Experience Platform(アドビ・エクスペリエンス・プラットフォーム)、Audience Manager(オーディエンス・マネージャー)、Real-Time CDP(リアルタイム・カスタマーデータプラットフォーム)の導入が挙げられます。さらに、中堅企業向け市場区分への参入におけるMarketo事業の勢いが、私たちのカスタマー・ジャーニー・マネージメントソリューションの成長に油を注ぎました。
これらすべてが、デジタル・エクスペリエンス分野全般での成長をもたらしている。
しかしアドビは、単に新たなマーケットシェアを購入しただけではない。一連の製品の社内開発を継続することで、企業としての新しい収入源を育てようともしている。
「私たちは、カスタマーエクスペリエンスマネージメント(CXM)製品戦略を急速に進化させ、世代にまたがる技術プラットフォーム、核心的なサービス、市場をリードする私たちのアプリケーションの強化をお届けします。Adobe Experience Platformは、CXMに特化した業界初のプラットフォームです。リアルタイムのカスタマープロフィール、コンティニュアスインテリジェンス、そしてオープンで拡張可能なアーキテクチャーにより、Adobe Experience Platformは、個々のユーザーに合わせたエクスペリエンスの大きな規模での提供を実現します」とナラヤン氏は話していた。
もちろん、これらの事業は全体の一部に過ぎない。アドビの事業の大黒柱はクリエイティブツールであることに変わりはなく、クリエイティブツール群のこの第4四半期の収益は17億4000万ドル(約1900億円)あり、Document Cloud(ドキュメント・クラウド)がそれに3億3900万ドル(約42億6000万円)を上乗せしている。
アドビは、今回の企業買収の成果が現れ、デジタル・エクスペリエンス関連製品の大きな部分を占めるようになる2020年にも、強い自信を見せている。しかしナラヤン氏は、今年のデジタル・エクスペリエンスの成績にも気を良くしている。「今年の出来事を一歩下がって眺めてみると、そこで発生したイノベーションの数の多さに大変に満足を覚えます。もうひとつ、私がとても満足していることに、MagentoとMarketo、そして、統合的で足並みのそろった市場開拓という意味においてひと口に中核的なデジタルトランスフォーメーション事業と呼べるものが一列に揃い、良好な結果を招いたばかりでなく、その事業に関連する運営コストにも良い影響をもたらした点があります」。
どんなソフトウエア企業にとっても、年間110億ドルを超える収益を得るのは並大抵のことではない。1982年に創設され、1980年代にデスクトップパソコン用のソフトウェアを開発していたころのアドビを思えばなおさらだ。そのアドビが、ナラヤン氏の采配のもと、この5年で巨大なクラウドサービス企業に成長したのだ。
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(翻訳:金井哲夫)