2020年5月におきた各種イベントは、アフリカがグローバルに応用できるテクノロジーを育むことができるという主張を支持するものとなった。
アフリカ大陸でビジネスモデルを開発した2つのスタートアップ、MallforAfricaとZiplineが国際的な注目を浴びている。
DHLは、ナイジェリアのデジタルリテール・スタートアップ、MallforAfrica.comから成長したターンキーのeコマース企業であるLink Commerceの少数株を買収した。
Link Commerceは新興市場でオンライン販売を行うためのホワイトラベルソリューションを提供している。
小売業者が同社のプラットフォームにプラグインすると、支払いと物流を管理するウェブベースのストアフロントを作成できるというものだ。
ナイジェリア人のChris Folayan(クリス・フォラヤン)氏は、アフリカ大陸における消費者市場の需給ギャップを埋めるため、2011年にMallforAfricaを設立した。フォラヤン氏はアメリカに在住する間に、アフリカ人の典型的な慣行に目を留めた。海外に住む家族に欲しい商品のリストを渡し、購入して持ち帰ってもらうというものだ。
そこでフォラヤン氏は、アフリカ大陸の人々がMallforAfricaを利用してグローバルな小売業者から直接オンラインで商品を購入できるようにすることを目指したのだ。
同eコマースサイトは250を超えるグローバルな小売業者を擁し、現在オレゴンとイギリスの注文処理施設で30人の従業員を雇用している。
フォラヤン氏はその後、Link CommerceをMallforAfrica.comの主幹会社として昇格させた。同氏とDHLは同プラットフォームを世界中の新興市場に拡張し、コアビジネスにオンラインストア、決済、ロジスティクスソリューションを取り入れたいと考えている企業に提供する予定だ。
「現在焦点を当てているのはアフリカですが、グローバルな展開を見据えています」とフォラヤン氏は言う。
アフリカにおけるもうひとつのスタートアップZiplineは、新型コロナウイルスとの闘いにおいて重要な医療用品をドローンで配達するため、米国の医療提供者Novant Healthに選出された。
両者はパートナーシップを発表。これによりZiplineのドローンはノースカロライナにあるNovant Healthの緊急ドローンフルフィルメントセンターと、第一線の医療従事者がコロナウイルス患者を治療しているハンターズビルにある同非営利医療センターの間の32マイルの飛行を2ルートで行うことになる。
ZiplineとNovantは、この取り組みが米国で認可された最初の長距離ドローン物流配達飛行プログラムだと述べている。この活動は米国連邦航空局とノースカロライナ州交通局の承認を得た上でのものだ。
NovantとZiplineのUAV(無人航空機)コラボレーションの背景にはひねりがある。米国での運用機能は主にアフリカで開発されているのだ。Ziplineはサンフランシスコ地域にテスト施設を持っているが、ドローン配信モデルの構成をする際にルワンダとガーナで数年を費やした。
アメリカ人のKeller Rinaudo(ケラー・リナウド)氏、Keenan Wyrobek(キーナン・ワイロベック)氏、Will Hetzler(ウィル・ヘッツラー)氏によって2014年に共同設立されたZipline。同社は重要な医療用品を配布するための独自のUAV、ローンチシステム、ロジスティクスソフトウェアを設計した。
同社は2016年に東アフリカに目を向け、ドローンサービスをテストおよび展開するためにルワンダ政府とパートナーシップを組んだ。2016年後半、ZiplineはルワンダでUAVによる救命医療用品の物流を開始。同社はこれを世界初となる全国規模のドローン配送プログラムだとしている。
2016年に同社はガーナへと拡大。ここではドローンによる血液とワクチンの配送に加え、現在では新型コロナ関連の医薬品と検査サンプルを配送している。
パートナーのNovant Healthに加え、ZiplineはUPSなどの大手物流プロバイダーの関心も集めている。UPSは2016年まで同スタートアップのアフリカでの事業をサポートおよび調査した過去を持つ。
ルワンダとガーナの大統領、Paul Kagame(ポール・カガメ)氏とNana Akufo-Addo(ナナ・アクフォ=アド)氏は、Ziplineと両国とのパートナーシップを支援するのに尽力した。ケニア、南アフリカ、ザンビアなどのアフリカ大陸の他の国々は、商業ドローンのテストとセクターを規制するための新しいアプローチを推進し続けている。
Novastar Venturesの最新の資金調達後、アフリカのスタートアップらはさらにVCで1億ドル(約108億円)の売り込みをかけている。
ナイロビとラゴスを拠点とする同投資グループは、Africa Fund IIの立ち上げに向けた1億800万ドル(約194億円)の新規契約を締結し、同社の総資本を2億ドル(約215億円)に引き上げたと発表した。
マネージングディレクターのSteve Beck(スティーブ・ベック)氏によると、追加のリソースを使用して同社は大陸全体で12〜14の投資を計画しているとのことだ。
アフリカでは電気と太陽光を利用したオンデマンドモビリティが注目を浴びている。
ジンバブエの権力者であるStrive Masiyiwa(ストライブ・マシイーワ)氏によって設立された配車サービスのモビリティベンチャーであるVayaAfricaは、今週ジンバブエで電気タクシーサービスと充電ネットワークを立ち上げた。今後はこれらを大陸全体に拡大する計画を立てている。
南アフリカに本社を置く同社は、電気自動車である日産リーフを使用し、独自の太陽光発電充電ステーションを開発した。Vaya MobilityのCEOであるDorothyZimuto(ドロシー・ジムト)氏はTechCrunchに対し、同社はパートナーシップを完成させ、ケニア、ナイジェリア、南アフリカ、ザンビアなどの国々に電気タクシーサービスを展開する予定であると語ってくれた。
アフリカにおけるオンデマンドのモビリティマーケットは数年前から本格化しており、スタートアップや投資家、大手の配車サービス企業が人々や商品の動きをデジタルプラットフォームにもたらすことを目指している。
UberとBoltは、アプリベースのタクシースタートアップも数多くあるアフリカの主要経済圏で2015年から事業を行っている。また昨年以降、アフリカ大陸では主にモーターサイクルを中心として、配車サービスや配達用のEVを開発する動きが起きている。
環境における利点に加え、個人の収入と比較して燃料費がドライバーにとって一般的に高額なアフリカのタクシー市場において、Vayaは電気にシフトすることによる乗客とドライバーへの経済的利益も強調している。
充電ステーションネットワークへの電力供給にソーラーパネルを使用しているのも、Vayaの新しいEVプログラムがアフリカの電力網における課題を克服するための救いの手となっている。
Vayaはまた、ミニバスからトゥクトゥクタクシーまで、さまざまなオンデマンドの交通アプリケーションにおけるEVオプションを模索中だ。
5月のやや悲観的なニュースとしては、新型コロナ危機の経済的影響の結果として、アフリカに焦点を当てた技術人材促進企業のAndelaが一時解雇や給与の削減を余儀なくされたことであり、同社CEOのJeremy Johnson(ジェレミー・ジョンソン)氏がその事実をTechCrunchに認めている。
報酬の削減と135人の人員削減により、Andelaの従業員数は1199人へと減少した。同社のエンジニアは解雇の対象に含まれていない。
Chan Zuckerberg Initiativeを含む投資家からの、1億8100万ドル(約195億円)のVCに支えられている同スタートアップ。各プロジェクトのためにAndelaが選出したアフリカの開発者らが働いており、同社のクライアントベースは200社以上のグローバル企業で構成されている。
ジョンソン氏によると、Andelaのサービスに対する需要は減少しているとのことだ。
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Category:ドローン
Tag:アフリカ
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(翻訳:Dragonfly)