ナイジェリアに拠点を置くEdTech(教育+テクノロジー)系スタートアップで、SDカードで学生にデジタルカリキュラムを販売するuLesson(ユーレッスン)が、シリーズAの資金調達で750万ドル(約7億8000万円)を調達した。このラウンドを主導しているのは、わずか数カ月前に5億ドル(約520億円)を超える新規投資を締結したOwl Ventures(オウル・ベンチャーズ)だ。他にもLocalGlobe(ローカルグローブ)や、TLcom Capital(ティーエルコム・キャピタル)、Founder Collective(ファウンダー・コレクティブ)などの既存の投資家が参加している。
今回の資金調達は、uLessonが2019年11月に310万ドル(約3億2000万円)のシードラウンドをクローズしてから1年あまり経っているが、当時と現在の最大の違いは、単に銀行に数百万ドル(数億円)の資金があるかどうかではなく、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が、このスタートアップの価値提案全体に大きな影響を与えたことだ。
uLessonは、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスの世界的大流行を宣言する数週間前に市場に参入した。Dカードの送付によるコンテンツの配信から始まったこのスタートアップ企業は、学生がリモート学習に適応し、アフリカ全土の家庭にスマートデバイスの波が押し寄せた時期と適合した。
「これまで見たことのないようなかたちで地面が濡れてきました」と、uLesson創業者兼CEOのSim Shagaya(シム・シャガヤ)氏は語った。「オフラインだけでは不可能だった、私たちがEdTechの世界でやりたいと思っていた本当に素晴らしいことが、すべて実現できるようになりました」と、創業者は付け加えた。
uLessonは他の多くのEdTech系スタートアップと同様に、一夜にしてリモート教育が普及したことの恩恵を受けてきた。補助的な教育ツールとしての位置づけが、前月比70%の成長を達成するのに役立ったと、シャガヤ氏は述べている。同氏によると、デジタルインフラが整ったことにより、「2021年の第2四半期までに完全オンライン化」が可能になるという。
uLessonの年会費は50ドル(約5200円)で、アプリのダウンロード数は100万回を超えている。
シャガヤ氏は、uLessonがSDカードの送付を利用したオフラインの非同期コンテンツから、ライブのオンラインプラットフォームへと進化していくことで、新たな需要があると見ている。このスタートアップはすでにライブ個別指導の実験を行っており、事前に録画された教材を見ながら学生が質問できる機能をテストしている。このスタートアップには毎日3000以上の質問が寄せられ、需要が高すぎてテスト機能を一時停止せざるを得なかった。
「ユーザーがボタンを押すだけで、自分が勉強していることを基本的にマスターしている大陸のどこかの大学生から、瞬時にサポートが受けられるようにしたいと考えています」と、シャガヤ氏はいう。Chegg(チェグ)、Quizlet(クイズレット)、Brainly(ブレインリー)などの企業を見てもわかるとおり、コンテンツに特化したスタートアップがライブ個別指導のレイヤーを追加する傾向は続いているようだ。
巨大なチャンス
新型コロナウイルスの影響で、eラーニングのスタートアップ業界は活況を呈している。これによって、家庭教師のマーケットプレイスや、学生にサービスを提供するコンテンツが続々流入しつつある。EdTechで最も価値のあるスタートアップの1つは、オンライン学習サービスを提供し、学生にテスト対策を行うByju’s(バイジューズ)だ。
しかし、シャガヤ氏は、他のどんなライバル企業も、Byju’sでさえアフリカ市場に向けてデジタルな方法でこれを行うことについて、困難を乗り越えたとは思っていない。南アフリカやケニアには家庭教師の人材紹介会社があり、学生の自宅に人材を派遣するオフラインの家庭教師市場はあるが、デジタルカリキュラムの観点で明確なリーダーはいない。
「アフリカは大きなチャンスだと誰もが思っています」と、シャガヤ氏は語る。「しかし、それを成し遂げるためには、現地のチームが必要だということも誰もが知っています」。
シャガヤ氏は、アフリカのEdTechには巨大なチャンスがあると考えているが、その理由は2つある。若い人口と、私立学校へ進む学生の深い洞察力だ。これらの事実が組み合わさることで、経済力があって補習教育にお金を払う意思のある学生の宝庫が生まれる可能性がある。
uLessonにとって、そして新型コロナウイルスの恩恵を受けたすべてのEdTech系スタートアップにとって、最大のハードルは流通と成果だ。uLessonは有効性と成果に関するデータは公表していないが、現在、ジョージア大学と共同で熟達度を把握するための研究を進めている最中だという。
「コンテンツへの取り組みと製品は、流通という聖壇で生きるか死ぬかのどちらかになります」とシャガヤ氏はいう。この創業者は、たとえばインドでは、社会的なニュアンスや文化から、事前に録画された動画がうまく機能していると指摘する。uLessonは、アフリカ周辺の市場で動画に最適なソースを見つけ、それを製品に組み込んでいこうとしている。
カテゴリー:EdTech
タグ:uLesson、アフリカ、資金調達
画像クレジット:uLesson
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(翻訳:TechCrunch Japan)