【抄訳】
アプリがどれだけ好調かを知るためにいちばん多く使われている二つの測度は、ダウンロード数と登録ユーザ数だ。どちらも百万のオーダーに達することがあり、アプリの人気の指標である、と言われている。でもダウンロード数では定着率を上げる方法がつかめないし、ユーザがそのアプリを実際によく使ってるかどうかも分からない。
モバイルアナリティクスのスタートアップQuettraは、著名VCのGoogle VenturesやCrunchFund(本誌TechCrunchのファウンダMichael Arringtonが作ったファンド)、Horizons Venturesなどに支えられてしばらくステルス生活を送ってきたが、今日(米国時間5/15)、そのプロダクトの一般公開にこぎつけた。それは、アプリに関心を持ったユーザにとりあえずそのアプリをせめて一回は開いてもらえるために、デベロッパが行うべき微調整を助ける、というプロダクトだ。
Portraitと呼ばれるそのプロダクトは、アプリとユーザに対する新しいタイプのアナリティクスで、とても軽量であると同時に得られる情報量は多い、という特長がある。
今や、モバイルユーザから情報を得る方法はたくさんある。センサでユーザのアクティビティや位置や、ご当地の気圧まで計る方法があるし、モバイルWebで今何を閲覧しているか、どのアプリのどこをクリックしたか、どれだけの量のデータを使ったか、スマホはどの機種を使っているか、などなども知ることができる。
それらに対して、QuettraのPortraitがやることはただ一つ、ユーザの“アプリグラフ”というものを調べるのだ。つまりそのユーザのiOSまたはAndroidデバイスには、すでにどんなアプリがインストールされているか、を調べる。そしてその情報をQuettraが開発したビッグデータ処理にかけ、それらのアプリからユーザの特性を把握する。
デベロッパは、そこから得られた情報を利用して、自分のアプリにそのユーザの気持を乗らせる方法を考えたり(たとえばコンテンツの提案をもっと増やす、とか、アプリをユーザの好みにもっと合わせた仕様にするとか)、アプリの最初の使用の直後に適切な通知を送ったり(通知はユーザが無視するスパムの洪水になりつつあるから良質な通知にとっては好機)、そのユーザにとって意味のあるアプリ内広告を出したりできる。
[→写真吹き出し訳: ユーザは純粋な菜食主義とポッドキャストとフィットネスに関心がある]
QuettraのファウンダAnkit Jainは、Google Playの検索と発見を担当していた。彼によると、ユーザのアプリ集合に基づくインテリジェンスデータベースにはすでに1億2500万プロフィールぶんの情報があり、その一部はPortraitの非公開ベータに協力した数社のパブリッシャーから提供されている。
それらのパブリッシャーは、Quettraに投資もしているSungy Mobileや、Haptik、App In The Air、Echo Lockscreen、Dil Mil、RV App Studios、Junglee Gamesなどだ(Quettraが挙名しなかったパブリッシャーもある)。
デベロッパはPortraitのアナリティクスをSDKを使って実装し、誰かがそれを実装しているアプリを開くと、アプリがすぐにそのデバイスをスキャンしてアナリティクスの結果をデベロッパに返すので、それに対応してもっと良いコンテンツをプッシュする、などのことができる。
ParseやUrban Airship、MixPanelなどのマーケティングオートメーションプラットホームや、Admob、InMobi、MoPubといった広告ネットワークとも統合できる。
Quettraがまだステルスしていて、最初の資金調達を発表したときには、広告主がユーザのことをもっとよく知るようになる、という点を強調した。でも最近ではもっと幅広いねらいを訴求するためか、広告のことはあまり強調しなくなった。ユーザは、自分のアプリのプロフィールが外部に知られることから完全にオプトアウトする(iOSやAndroidではそれがプライバシー設定の一部であり、それはまた広告ネットワークがユーザを調べる方法に対してシステムが行う‘管理’でもある)。しかしPortraitではそういう場合ユーザは完全に匿名でジェネリックであり、QuettraのSDKは具体的なプロフィールを取得しない。
【中略】
Quettraは、ダウンロード数と登録ユーザ数だけに依存する素朴で幼いアナリティクスの時代を過去に葬り、定着率(リテンション)の向上策にハイライトを当てる。Jainによると、GoogleもFacebookもTwitterも、今ではその方向に傾きつつある。だが、QuettraとPortraitばかりでなく、スマート通知のAppBoyや、ユーザの選好(プリファレンス)を知ろうとするSensiyaなども、アプリを個人化(パーソナライズ)するモアベターな方法で先頭に立とうと頑張っている。
【後略】