アプリ内購入による売上が過去最高に。米国iPhoneアプリ売上の76%、アジアでは90%

今やモバイルアプリの多くがアプリ内購入で収益を上げていることはよく知られているが、今日(米国時間3/28)発表されたレポートは、この収益メカニズムがいかに強力になってきたかを見せつけている。2012年1月時点で、米国iPhone App Storeの売上に占めるアプリ内購入は約半分(53%)だったが、先月にはこれが過去最高の76%まで増えている。

しかしながらこの数字は地域によって異なる。例えばドイツでは、2月のアプリ内購入の割合は61%と低い。一方、アジア市場の数字は爆発的だ。香港、日本、中国、および韓国では、全アプリ売上の90%以上がアプリ内購入によるものだ。

これらの結果はDistimoによるApp Store分析の最新レポートが示しているもので、今月は特に詳細な分析がなされている。同レポートは特に米国におけるトレンドを調べ、iPhoneのアプリ内購入を利用しているアプリ販売社のビジネスモデルに注目した。

当然ながら、Distimoの調査によると、米国では大半(71%)のアプリが「フリーミアム」アプリで、アプリ自体は無料だがiPhoneにインストールされた後、バーチャルグッズ、特別なレベル、サービス、アップグレードなどを有料で提供する。5%はアプリ内購入を利用している有料アプリで、残り24%がアプリ購入を伴わない純粋な有料アプリだった。

現在80万本以上のiOSアプリがひしめくApp Storeで、デベロッパーは自分のアプリを見つけもらうことが益々困難になりつつあり、インストールされるとなるとなおさらだ。アプリ自身に値札を付けることが、今や物見高い気軽なユーザーにとって障壁となっている。AppleのApp Storeには「お試し」のしくみがないことも一因だ。AndroidのマーケットプレイスであるGoogle Playには簡単に返品するしくみやコンテンツのトライアル購読がある。時として(子供向けアプリでは間違いなく)適切な告知をせず、不誠実さらには詐欺的だとまで言われながらも、稀少なホーム画面の場所を争うデベロッパーたちはこのビジネスモデルの採用を余儀なくされている。

かくしてアプリ内購入(IAP)ベースのフリーミアムアプリの増加傾向は依然として続いている。上に書いたように、わずか1年前と比べてもこの方法で収益を上げているアプリが急増している。2013年2月のトップ10売上スアプリは、2012年1月以降にリリースされたものでその〈全部〉がフリーミアムアプリだ。

Distimoは先月、トップセールスアプリのトップ250も調査しており、ARPD(1ダウロード当たり平均売上)として知られているApp Storeでの指標を求めるためにダウンロード数と売上を推定した。こうして得られたARPDを見ると、どのパブリッシャーもこのビジネスモデルに引き寄せられてはいるが、ダウンロード当たりの実績には大きな開きがあることがわかった。トップ10のARPDは、最低が0.37ドル、最高は7.04ドルだった。

どのビジネスモデルが全体としてうまくいっているかを確かめるべく、Distimoはトップセールスアプリのベスト250を調べた。内170本が無料+IAP、53本が有料+IAP、27本が有料のみだった。(ビジネスモデルを変更したアプリは分析から除外した。広告収益も含めていない)。全iPhoneアプリの平均ARPDは0.99ドルだった。

全有料アプリの平均ARPDは2.25ドル、無料アプリでは0.93ドルだった。IAPを利用している有料アプリのARPDは2.45ドルだった。

上記はiPhone App Storeに絞ったものだが、DistimoはiPadアプリも分析しており似た傾向が見られた。ただし平均販売価格は高めだ。2013年2月のストア全体の平均価格は、4.45ドル、一方iPhoneは3.19ドルだった。

IAPなし有料アプリのARPDは4.04ドルで、iPhoneのほぼ2倍。IAP付き有料アプリでは3.72ドルだった。フリーミアムアプリは2.26ドルで、これもiPhoneより高い。

全体では、有料アプリにおける1ダウンロード当たり平均アプリ内購入売上は、iPhoneで0.98ドル、iPadで1.26とDistimoは言っている。

同レポートは米国以外にも目を向け特に日本のARPDが高いことを指摘している。同国のトップ10セールスアプリのARPDは12ドル以上だ。Distimoは、「パズル&ドラゴンズ」をこのゲームにデータが引っぱられることを防ぐために分析から外しているが、もし含めていればARPDはさらに高くなっていた。

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(翻訳:Nob Takahashi)