ウクライナでの戦争が続く中、Exxon(エクソン)、Visa(ビザ)、McDonald’s(マクドナルド)、Coca-Cola(コカ・コーラ)などさまざまな企業がロシアでの販売を停止している。Adobe(アドビ)、Apple(アップル)、PayPal(ペイパル)といったテック企業も、ここ数週間のうちにこれに加わっている。
我々はAmazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)、IBM、Cloudflare(クラウドフレア)といった世界トップクラスのクラウドインフラストラクチャベンダーに、ロシアのウクライナ攻撃に対する各社の対応を問い合わせた。各社とも、公開ブログ記事をそのまま伝えたいメッセージとして共有したが、Google Cloudだけは例外で、自社の立場を表明する簡単な声明をTechCrunchに送っている。
AWSは3月4日のブログ記事で、ロシアに同社のデータセンターはなく、方針としてロシア政府とは取引していないことを示した。また、ロシアの顧客はいるが、いずれも本社はロシア国外にあるとし、販売停止には至らなかったと述べていた。しかし3月8日、同社はブログ記事を更新し「ロシアとベラルーシにおけるAWSの新規サインアップを停止した」と変更した。
Microsoftもロシア向けの販売停止という措置をとった。「本日、ロシアにおけるMicrosoftの製品およびサービスの新規販売をすべて停止することを発表します」と、Brad Smith(ブラッド・スミス)氏はこの措置を発表した3月4日のブログ記事で書いている。その中にはAzureのインフラサービスも含まれていると思われる。
3大クラウドインフラベンダーの最後を飾るGoogleについては「現時点では、ロシアではGoogle Cloudの新規顧客を受け入れていないことが確認できています。引き続き、動向を注視していきます」と述べている。
IBMも同様の立場をとっており、Arvind Krishna(アルヴィンド・クリシュナ)CEOが書いた3月7日のブログ記事で、ロシアでの販売を停止することを発表している。「先週のウクライナ戦争に関する発表に対し、多くの方からご意見をいただきました。まず、はっきりと申し上げておきたいのは、当社はロシアでのビジネスをすべて停止したということです」とクリシュナ氏は投稿の中で述べた。
Cloudflareは純粋なクラウドインフラベンダーではなく、ロシアやウクライナを含む世界中の数百のデータセンターを通じて、安全なインターネットアクセスの提供を支援している。インターネットプロバイダーである同社は、ロシアでのサービス停止を求める声がある中で、同国でのインターネットを維持することが重要だと考えている。
「さらに、ロシア国内におけるCloudflareの全サービスを停止するよう求める声も複数寄せられています。当社はこれらの要請を慎重に検討し、政府や市民社会の専門家と議論を行いました。それらの専門家と協議した結果、ロシアに必要なのはインターネットアクセスの拡大であって、縮小ではないというのが我々の結論です」と同社はブログで書いている。
今週発表されたIDCのレポートによると、これらの措置をとるクラウド企業が受ける経済的影響は、おそらくわずかなものであろうということは注目すべき点だ。「IDCは、ロシアとウクライナのICT支出が急減し、ゆっくりと回復すると予測していますが、この減少による世界的な影響は幾分限定されています。この2カ国を合わせても、欧州の全ICT支出の5.5%、世界の1%を占めるに過ぎません」と同社は報告している。
画像クレジット:Ralwel / Getty Images
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(文:Ron Miller、翻訳:Den Nakano)