Amazon(アマゾン)のアラバマ州ベッセマー倉庫における労働組合結成に向けた取り組みは、開票2日目に大差で敗北したことがわかった。3215票のうち半数以上が会社を支持する結果となったのだ。この投票が可決された場合、労働組合の役割を果たすことになっていた小売・卸売・百貨店連合(RWDSU)は、この結果にいち早く異議を唱えた。
RWDSUのStuart Appelbaum(スチュアート・アッペルバルム)会長は、TechCrunchに提供された声明の中で次のように述べている。
Amazonは、自社の従業員をガスライティングするためにあらゆる手段を講じてきました。私たちは、Amazonの嘘、ごまかし、違法行為を許すことはできないため、組合投票の際にAmazonが行ったひどい違法行為のすべてを正式に告発します。Amazonは、たとえ違法行為であっても、できる限りのことをしなければ、労働者が組合結成を支持し続けるだろうということを十分にわかっていたのです。
だからこそ、Amazonは、全従業員に虚偽と嘘に満ちた説明を何度も行う必要があり、労働者は会社から組合反対要求を聞かされることになりました。また、だからこそ、Amazonは、インターネットや電波、ソーシャルメディアを利用して、誤った情報の宣伝を流したのです。だからこそ、Amazonは、何十人もの外部の人間や組合潰しの人間を連れてきて、倉庫の床を歩かせたのです。だからこそ、Amazonは、施設内のいたるところに看板を設置し、従業員にテキストメッセージを送り、自宅には電話をかけてきたのです。そして、だからこそ、Amazonは、労働権が認められている州で、組合費が毎月給料から徴収されると嘘をついたのです。Amazonの行為は卑劣なものです。
この最初の敗北は、Amazonの27年の歴史の中で組合結成に向けた最大の取り組みが、大きく後退したことを意味する。これは小売業の巨人とブルーカラーの技術労働者の双方にとって大きな変化をもたらす可能性があったが、今のところ、圧倒的な敗北を喫している。
当然ながらAmazonは、労働者を適切に扱っているため、このような組合活動は必要ないと、長いこと主張してきた。その論拠として、同社は時給15ドル(約1640円)の最低賃金などの基準を挙げているが、これも当初は抵抗していたものの、最終的には議員からの圧力を受けて導入したものだ。
今回は双方にとって厳しい戦いとなった。Bernie Sanders(バーニー・サンダース)氏からMarco Rubio(マルコ・ルビオ)氏まで、多くの議員が党派を超えて組合結成のために力を貸した。後者の保守派のフロリダ州上院議員は、同社の「独自で悪質な企業行動」を指摘した。また、Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領も労働者側に立ち、自らを「史上最も組合びいきの大統領」と称した。
Amazonがこの結果を正当なものと主張することは疑う余地がない。同社は以前の声明で「我々の従業員は賢明で、時給15ドル以上の初任給を得て、初日から健康管理が受けられ、そして安全で包括的な職場という真実を知っています。すべての従業員に投票をお勧めします」と述べていた。
このニュースを受けたブログ記事で、同社は次のように述べている。
この選挙でAmazonが勝ったのは、私たちが従業員を威圧したからだと組合がいうだろうことは容易に想像できますが、それは真実ではありません。当社の従業員は、我々から聞いたメッセージよりも、組合や政策立案者、メディアから反Amazonのメッセージを聞くことの方がはるかに多かったのです。そして、Amazonが勝ったわけではありません。私たちの従業員が、組合への加入に反対するという選択をしたのです。従業員はAmazonの心であり、魂です。私たちは常に従業員の声に耳を傾け、彼らのフィードバックを受け、継続的な改善を行うことに懸命に取り組み、安全で包括的な職場で優れた給与と福利厚生を提供するために多額の投資を行ってきました。私たちは完璧ではありませんが、我々のチームと自分たちが提供しているものを誇りに思っています。そしてこれからも日々向上するために努力を続けていきます。
労働委員会の規約に違反してアマゾンが設置したとされる投票箱に対する疑念も残っており、これについても組合からの異議申し立てが予想される。
「倉庫の敷地内に投票箱を設置するというAmazonの要求をNLRB(米労働関係委員会)が明確に拒否したにもかかわらず、Amazonは自分たちが法律を超えた存在であると感じ、ともかく郵便公社と協力して投票箱を設置した」と、RWDSUは書いている。同社がこのようなことをした理由は、それが労働者を威嚇する明確な手段を提供するからです」。
約6000人の労働者を雇用するAmazonのベッセマー倉庫は、ロックダウンが差し迫る中、同社が必要不可欠な労働者の運用を拡大するため、2020年3月末に開設したものだ。この件に関する報道では、厳しい就業基準を満たすために従業員が飲料水用ボトルに放尿しているという多数の報告をはじめ、同社のブルーカラー労働者の扱いをめぐるさまざまな長年の不満が表面化している。
Amazonは当初、ソーシャルメディア上でこれらの主張を否定していたが、後に謝罪の意を表したものの、業界全体の問題に責任を転嫁するような姿勢を示した。また、同社は子会社のストリーミング・プラットフォームであるTwitch(ツイッチ)で、反組合的な広告を流していたが、Twitchは「掲載を許可すべきではなかった」との声明を出し、広告を取り下げたこともある。
開票された3215票は、アラバマ州の倉庫で働く労働者の半数以上を占める。Amazonがその半数以上を獲得したにもかかわらず、集計は継続される。労組結成の挑戦は数週間にわたり続く可能性がある。
カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Amazon、労働組合、労働問題
画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch
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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)