アマゾンが新型コロナ禍中のインドでフードデリバリーを開始

Amazon(アマゾン)は、インドでオンラインフードデリバリー市場に参入する。地元大手のSwiggy(スウィギー)とZomato(ゾマト)が新型コロナウイルスのパンデミック時代をなんとか切り抜けようと従業員を解雇(未訳)する中での動きだ。

インドに65億ドル(約7000億円)超を投資したeコマース大企業のアマゾンは米国時間5月21日、バンガロールの一部エリアでフードデリバリーサービスAmazon Foodを立ち上げた。元々は昨年開始しようと計画していたが、その後今年3月立ち上げに後ろ倒しし(未訳)、さらにはインド政府が3月下旬に全土に出した外出禁止令によって延期されていた。

立ち上げまでの準備期間、アマゾンは今年初めにバンガロールのいくつかの提携レストランとフードデリバリーサービスのテストを進めていた。

「Amazon」アプリを通じて利用できるAmazon Foodは現在バンガロール郊外のベランダ、ハラルアー、マラサハリ、ホワイトフィールドで展開されている

「『顧客から、必需品の買い物に加えでアマゾンで調理された食事を注文できれば』との要望があった。これは、安全のために外出を控えている現状と密接に関連している」とアマゾンの広報担当はTechCrunchに語った。

「また地元の事業者があらゆるサポートを必要としていることも認識している。厳選されたローカルのレストランと我々の厳しい衛生基準をクリアしたクラウドキッチンに顧客が注文できるAmazon Foodをバンガロールの一部で立ち上げる。顧客が楽しい体験をしながら安全を確保できるよう、最も厳しい安全基準を導入している」と広報担当は付け加えた。このサービスをいつインド全土に拡大するのかについては語らなかった。

同社のフードデリバリー市場への参入は、Swiggyが支援するProsus Ventures(プロサス・ベンチャーズ)や、今年1月にUber(ウーバー)のEatsインド事業を買収した(未訳)創業11年のスタートアップZomato、バンガロールで事業展開しフードデリバリーを主要事業の1つと位置付けているGoogle(グーグル)が支援するDunzo(デゥンゾー)にとって(未訳)新たな脅威となるかもしれない。

これまでに合わせて20億ドル(約2150億円)以上を調達したSwiggyとZomatoはまだ黒字化できておらず、新規顧客の獲得と既存顧客の維持のために毎月1500万ドル(約16億円)超の損失を出している。

投資会社India QuotientのAnand Lunia(アナンド・ルニア)氏は今年初め「フードデリバリー会社は顧客の大半がサービスを利用するだけの経済的余裕がないため、プラットフォームの料理のコストを助成し続けるより他に方法がない」と話していた。

収益化への道を探し出すのは、米国のように発展した国と違ってインドではかなり難しい。バンガロール拠点の調査会社RedSeerの推定では、米国では各デリバリー料理の価格は33ドル(約3600円)だが、同じような料理がインドでは4ドル(約430円)だ。

さらには、マーケットを寡占してきたZomatoとSwiggyは新たな難題に直面している。多くの人が新型コロナウイルスの感染拡大を受けてオンラインでフード注文するのに慎重になっているため、4月だけでSwiggyは従業員2100人超を、Zomatoは約520人を解雇した。両社ともそれぞれのプラットフォームでの注文は今年初めには300万件近くあったが、今では100万件に満たない。

バンガロール拠点のSwiggyはクラウドキッチンのオペレーションと関連事業をさらに縮小した。一方で5月21日に同社は、ジャールカンド州ラーンチーでアルコール飲料の配達を開始している。Zomatoもまた同日からアルコール飲料の配達サービスを提供すると明らかにした。そして両社はつい最近、グローサリーの配達も開始している。

アマゾンは近年、生鮮食品やグローサリーを販売するためにインドでPrime NowとAmazon Freshのプラットフォームを立ち上げ、その過程でいくつかの都市に倉庫を設けている。

画像クレジット: Anindito Mukherjee / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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