アメリカの労働力をハイテク指向に変える全国的教育訓練事業にGoogleが10億ドルを投入

労働の形が全世界的なレベルで急速に変わりつつある。労働が技術の影響で大きく変わったのはもちろんこれが初めてではないが、しかし今回は、オートメーションやロボット、AIなどの成長によって、これまでなかったような空前のペースで、従来的な仕事がなくなりつつある。そしてGoogleはほぼ確実に、この変化を推進している力の一つだ。

この検索巨人は、これまでも折りに触れて、このネガティブなインパクトを抑えたいという願いを表明してきた。そして今回は、言葉だけでなく、そのために10億ドルという大金を拠出することになった。今日ペンシルヴェニア州ピッツバーグで行われたイベントで、CEOのSundar Pichaiが、Grow with Googleと名付けた事業を発表した。これにより同社は向こう5年間、アメリカの労働者を教育訓練して起業を助けている非営利団体に、総額10億ドルの援助を行う。

そのイベントの場所が持つ意味は、ピッツバーグのここ数十年の成長を見てきた人なら、誰にでも分かるだろう。かつて鋼鉄の町(Steel City)と呼ばれたこの都市は、壊滅の瀬戸際から経済を蘇らせた理想的な範例として、何度も言及されてきた。ピッツバーグの場合、その主な推進力はテクノロジーだった。当地の名門校カーネギーメロン大学の支援によりピッツバーグは、ラストベルト(Rust Belt)の不況に沈むさびれた都市から、アメリカ有数のテクノロジーハブへと生まれ変わった。今ではピッツバーグの工場跡地で、ロボット工学や自動運転技術など、最先端のイノベーションが成長している。

Pichaiは、この町が彼自身にとっても特別の意味がある、と語った。彼は曰く、“24年前アメリカに来たとき、最初に見た都市がここだった。インターネットが本格的に活況を呈するまでは、ずっとここにいた。でも当時からすでに、ここは変わり始めていた。ハイテクの雇用が、急増していた”。

Grow with Googleイニシアチブの一環として10億ドルは、個人を対象とするインキュベータ/アクセラレータGoodwillへ行く。Google.orgからの一つの団体への寄付額としては、これまでで最大だ。この資金によりGoodwillは、アメリカの労働力をハイテク指向へ改造するための教育訓練事業Goodwill Digital Career Acceleratorを立ち上げる。また一方でGrow with Googleは、全国ツアーにより、各地の図書館や地域団体が主催するキャリア育成事業を支援していく。この部分の目標規模としては、5年間で100万時間/人ぶんのボランティア社員を投入する。

Pichaiはスピーチで述べた: “Googleでは、私たちのミッションは、情報が少数者ではなくみんなの役に立つようにすることです。ここピッツバーグでは、Googleの同じ情報に、小学生の子どもがカーネギーメロン大学の教授と同じようにアクセスできます。つまりインターネットは強力なイコライザー(平等化装置)であり、新しいアイデアを人びとが前進する力に換えます”。

このオンライントレーニング事業の詳細は、Grow with Googleのハブにある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

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TechCrunch Japan

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