イギリスの音楽サイトSongdropが日本で大人気, CEOが日本市場の後進性を語る

Web上の音楽をブックマークしたり、プレイリストを作ったり、ストリーミングしたりできるサービスSongdropが今日(米国時間9/11)、iOSアプリをローンチするという約束を守ったので、これからは出先でも自分が作った‘音楽番組’を聞けるようになった。機能はデスクトップのWebアプリケーションとほぼ同じで、アプリの方もYouTube、Soundcloud、Bandcamp、Vimeoなどの音楽やビデオに対応している。

モバイルバージョンを出した今の時期は、日本でのSongdropの人気が急上昇している。イギリス発のサービスなのに、再帰アクティブユーザの40%が日本からだ。この一見おかしな状況の原因は、日本では著作権問題などが厳しいので、まだまだ音楽ストリーミングサービスが、需要に対して供給過小だからだ。それに対してSongdropの‘オープンな’姿勢は、いわば日本から漁夫の利をかっさらっている。

音楽のためのDelicious’を自称するSongdropは、上で述べたように、YouTubeやSoundcloudやVevo、さまざまなブログなど、多様なソースからの音楽を、ブックマーク、リスト編成、そして共有できる。

デスクトップのWebアプリケーションでは、直接またはFacebookから登録し、どのブラウザでも使えるブックマークレットまたはChromeのエクステンションをインストールする。そうするとすぐに、Webで見つけた音楽を、後で聴くためにブックマークできる。もちろんブックマークからの削除もできる。

Songdrop本体の上やあるいはFacebookの友だちリストをインポートして、ほかのユーザをフォローできる。アーチストもフォローできるから、たとえばそのバンドの未知の曲をほかのユーザがブックマークしたら、その人をフォローしていたあなたのフィードにもその曲が自動的に現れる。

iOSアプリでも、できることはWebアプリケーションとほとんど同じで、自分の既存のプレイリストにアクセスする、新しいプレイリストを作る、アーチストをフォローして新曲を見つける、友だちがブックマークした曲を見つける、などなどができる。アプリは当面無料だが、ストリーミングはできてもオフラインの再生はできない。

日本での人気についてSongdropの協同ファウンダでCEOのBrittney Beanはこう語る: “日本のストリーミング市場は窒息死寸前よ。権利保有者の縛りがきつすぎて、自由なストリーミングをさせないからよ。日本にはSpotifyもDeezerもRdioもないわ。だからうちみたいに、ブックマークできるだけというささやかなサービスでも、日本の音楽ファンの渇きを癒しているのよ”、だそうだ。

Beanによると、日本では独自のオンラインビデオ文化が発達しているのに、音楽市場はまだその75%がフィジカルである。“だから、うちみたいな音楽ビデオの集積サービスが日本人には人気があるのね。ほかの国の人たちに比べて、うちのサイトへの日本人の再帰率はとくに高いわよ”。そして彼女によると、“日本のモバイルには今でも無制限定額制のデータプランがあるから、オフライン機能のないうちなんかには好都合ね”、ということだ。

WebアプリケーションもiOSアプリも無料だから、今のところは確定した収益源がない。まだそれを言うのは早すぎるか…。Beanが考えているのはアプリ内購入だ。ジュークボックスなど、音楽関連の小物ソフトウェアが売れるのではないか、と彼女は想定している。Androidアプリも出す予定だが、まだデベロッパを雇っていない。

Songdropは、SOIC Capitalから10万ポンド(約15万ドル)の資金を獲得している。ロンドンの会社なので、O2/Telfonica主催のアクセラレータプログラムWayra Londonにも参加している。

Songdropの直接的な競合他社としては、Ex.fmWhydSolayoなどがある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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