イギリスのMonzoがシリーズCのクローズへ―、ヨーロッパで増え続ける”チャレンジャーバンク”

monzo-mastercard-1

最近増えているネット専門銀行(またはチャレンジャーバンク)のひとつで、イギリスに拠点を置くMonzoは、現在シリーズCのクローズ間近で、早ければ今週中にも資金調達が完了する予定だ。

複数の情報筋によれば、アメリカのThrive Capitalがこのラウンドのリードインベスターを務めているようだ。しかし調達額についてはまだわかっておらず、3000万ポンドという情報もあれば、それより少ないが2000万ポンドは超えるという情報もある。さらに、Monzoが近いうちに2回目のエクイティクラウドファンディングのキャンペーンを開始するということもわかっている。

Monzoの共同ファウンダー兼CEOのTom Blomfieldに、シリーズCの存在やリードインベスターについて尋ねたところ「現段階ではコメントすることはできません」という反応が返ってきた。

興味深いことに、イギリス人のシンガーソングライターTom OdellがMonzoに投資しているかもしれないという情報も入ってきている。ラッパー・プロデューサー兼テック起業家のWill.I.amが、イギリスの別のチャレンジャーバンクAtomとチームを組もうとしており、さらにAtomへ投資するかもしれないというSky Newsの報道を考えると、この話は一層面白くなる。

Monzo以外にも、ニューヨークに拠点を置くThrive Capitalから投資を受けたヨーロッパのフィンテック企業は存在する。Josh Kushnerが設立したThrive Capitalは、最近行われた独RaisinのシリーズCでもリードインベスターを務めていた。なおRaisinは、ヨーロッパ全体で利用できる貯蓄口座を提供している

Monzo(以前はMondoという名前で活動していた)はインターネット専門銀行、もしくはBlomfieldの言葉を借りれば「スマートバンク」として、今年中にユーザーが当座預金口座を開設できるよう準備を進めており、昨年8月にはイギリスの規制団体FCAおよびPRAから「条件付きで」バンキングライセンス取得した。

現在のところ、10万人以上のユーザーがMonzoのプリペイド版のMasterCardと、iOS・Android両OSに対応したモバイルアプリを利用している。Monzoユーザーは、リアルタイムでの出金記録や、カードの利用場所の地図表示、支出金額のカテゴリー別け、全ての出金情報がまとまったタイムラインといったサービスも利用できる。

Monzoはこれまでの資金の一部をクラウドファンディングから、そして大部分をロンドンのアーリーステージVCであるPassion Capitalから調達しており、累計調達額は1280万ポンドに及ぶ。昨年10月に公表されたブリッジファンディング(つなぎの資金調達)では480万ポンドを調達しており、その際の評価額は5000万ポンドだった。

一方で昨年末には、Monzoが大手銀行からの巨額買収提案を却下したと噂されていた。先週のインタビュー中にBlomfieldにこの件を尋ねたところ、彼はこの話が真実だと認めた。

提案を却下した理由について彼は、「彼らには別の目的がありましたし、そもそもとても厄介な会社なんです」とその銀行の古びたITシステムや、文化、考え方などを例に挙げながら話した。「古い体制が残っているとリスクをとらなくなり、根本的にはイノベーションが止まってしまいます。これこそが問題なんです」

さらにBlomfieldは、売却の可能性は完全には否定できないものの、スタートアップ銀行にとって早い段階で他社に事業を売却するということは、救済策をとることに等しいと言う。「早い段階での売却は、設立当初の目的を達成できなかったと言っているも同然です」

一方でシリーズCは依然進行中のため、Blomfieldや彼のチームの前にはまだ長い道が続いている。

Monzo共同ファウンダーTom Blomfieldとのインタビューの様子はこちらから。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。